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内容説明
死者458人、CO(一酸化炭素)中毒者839人。膨大な数の犠牲者を出した、戦後最悪の炭鉱爆発事故から36年たった今、事故の真相とCO中毒患者たちの長期追跡データがはじめて明らかになる。事故の真の原因は何だったのだろうか。「治癒」と認定され、補償を打ち切られた中毒患者たちは、本当に全快していたのだろうか。―そのような疑問を抱いた著者二人は、爆発事故から炭鉱閉山の1997年まで、34年間の長きにわたり、炭鉱関係者への聞き取り調査と、患者たちの検診を続けてきた。本書では、爆発事故をそれぞれ異なる視点から追及した2つのパートが重なることによって、近代日本のエネルギー史を象徴する三池炭鉱の裏面が暴かれ、戦後高度経済成長が内包していた問題点があぶりだされていく。炭鉱で流された多くの血と涙が忘れ去られないために、そして、エネルギー政策の未来を考えるために、次世代へ向けておくる、衝撃のドキュメント。
目次
1 炭鉱災害の世紀(有明海の海底で何が起こったか―語られざる三池炭鉱史;挫折した炭鉱保安―三池炭じん爆発;無告の民―渡り坑夫の近代史)
2 三池CO中毒、もう一つのカルテ(閉山にむけて粛々と;CO中毒の医学;クーリエール炭鉱と三池炭鉱;水俣病裁判と三池CO裁判;忘れられた患者たち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
高原耕平
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現代の原子力工学・原子力産業従事者は必読すべきと思った。2014/09/13
てまり
0
充実度がすごい。事故自体はもちろん日本の炭鉱業のあらまし、労働闘争について、とある炭鉱夫の人生をサンプルとしての極貧者の生きざま、CO中毒の長期に渡る症例、そしてそれが家族関係にどのような悲劇をもたらすか。根底にあるのは金と政治が至上とされ、人命もただ数としてシステムに編入される社会の姿。これがまだ現代まで続いているのであろうなあ。下層とされる炭鉱夫もまた病になればその世話はさらに立場の弱い妻に丸投げ、朝鮮人差別もある。すべての解決は遠くとも、一歩ずつ前に進まねばならないんでしょうね。2021/06/18