内容説明
なにをやってもうまくできない不器用な一羽のとり。そのとりは、当時、無力感を抱いていた作家自身でした。作品を手にしたイタリア人編集者が、ページを閉じた瞬間に出版を決めたという感動作。生きるとは何か、幸せとは何かを考えさせられる結末に、心が震えます。絵本作家・刀根里衣の原点であるイタリアデビュー作。
著者等紹介
刀根里衣[トネサトエ]
1984年、福井県生まれ。2007年、京都精華大学デザイン学部ビジュアルコミュニケーション学科卒業。2010年、ボローニャ児童書ブックフェアに持ち込んだサンプル絵本がイタリア人編集者の目にとまり、2011年、“Questo posso farlo”を刊行。『なんにもできなかったとり』は、その日本語版。2012年より2年連続でボローニャ国際絵本原画展に入選をはたし、2013年には国際イラストレーション賞を受賞。受賞作を絵本化した“El viaje de PIPO”は各国から高い評価を得、メディア等で話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
168
図書館本。殻を割って生まれることもできなかった。木の実も取れなかった。泳げなかった。上手に歌えなかった。頑張ってもできなかった。みんなはできるのにどうしてぼくはできないんだろう…。できないことばかりのこの鳥の一生が自分の人生と重なって切なく涙が出た。最後の受け止め方は人それぞれだろうけど、きっとこの鳥は幸せだったんだろうな。自分が満足ならそれで良いのだ。2020/04/16
馨
111
他の兄弟たちはできるのに、自分だけうまく飛べない、うまく泳げない、うまく歌えない、いろんな方法を考えてみるけど、空回りしてしまう。そんなひなにも出来ることはある、とても前向きになれました。私もそんな思いになることが(仕事で)よくあるので、誰かの役にきっとたっていると思って頑張れそうです。2016/05/15
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
105
「ああ、どうしてぼくだけ なんにも上手に できないの?」。一生懸命なのに不器用なことりは、家族と離れ離れになってしまいました。一人ぼっちになって、自分にできることを見つけました。でも、本当にそれで良かったのかな(´;ω;`)……。刀根里衣さんがイタリアで出版した初めての絵本。『ぴっぽのたび』は赤、『きみへのおくりもの』は青が印象的でしたが、ページを繰るたびに変わっていくカラフルな本。美しくて、優しくて、やっぱりちょっと悲しい。2015年7月初版。2015/08/24
chimako
98
これは「幸せ」のお話なのかなぁ。なんにもできなくても愛されるべき一羽のとり。なのにきょうだいも親も見向きもしないし助けようともしない。自分でできることを見つけるけれど、それはすでに″とり″としての自分ではない。本来の姿を捨てても誰かの役にたつことは幸せなのかなぁ。腑に落ちない。とてもきれいで優しい絵の一冊だけに、違うストーリーが良かった。絵本は難しい。2016/04/21
ふう
84
なんにもできなくていい。でも、ありきたりの考えしかできないわたしは、お母さん鳥や兄弟鳥たちといっしょにいる幸せを感じて(愛されて)生きてほしかったと思いました。読んだ人それぞれがいろいろな感想をもち、幸せについて考えさせられる絵本です。2018/05/02
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