内容説明
東京・清瀬に、きよせの森総合病院(旧武谷病院)という病院がある。理事長は、武谷ピニロピという94歳になるロシア人女性である。彼女の父親は、帝政ロシアが誇るバルチック艦隊勤務を経て、ロシア帝国最後の皇帝となったニコライ2世の身辺警固を勤めた職業軍人だった。父親はツァーリの擁護者として、革命政府から追われる身となっていた。彼女がこの世に生を受けたのは、革命を逃れてさまよう亡命の旅のさなかのことだった…。ロシア革命を逃れ、国境を越え、日本に亡命した白系ロシア人女性の数奇な運命を辿る、魂を揺さぶる感動の長編小説。
著者等紹介
熊谷敬太郎[クマガイケイタロウ]
1946年東京生まれ。学習院大学経済学部卒。広告代理店・大広勤務ののち、雑貨製造輸入会社経営。著書に『ピコラエヴィッチ紙幣』(第2回城山三郎経済小説大賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
29
ジャケ借りです。読み始めてがくんとモチベーションが落ちてしまい、やっと上を終わり、なんかなぁ~。ヒロインは白系ロシア人、激動の露に生まれ育ち、これ又波乱に満ちた状況で会津に移り住み、持ち前の生真面目さと明晰な頭脳で医学生になる。そこに会津育英会が深く関わる。結婚、出産と並行し仕事に励む。なのに文章が余りにも平坦・・淡々。子供のころ読んだ偉人伝と同じ匂い。今どき、こんなのあるかぁ~とまでいいたくなるほど。申し訳ないがエンタテインメントしたくなかったのかとまで訝ってしまう。下巻へ。2014/10/14
あきむら
14
題名で借りてみましたが、ロシアから両親と亡命し、会津での生活や医学の勉強戦中戦後の生活が、文章が淡々としているせいか、順調に歩んできたかのように感じられ私には読みやすいです。2016/10/20
Fumoh
4
武谷ピニロピ女史という実在の眼科医師をモデルにした、大河小説で、上巻は革命戦争中のロシアからの脱出と、日本への定住、そして青春時代、結婚、太平洋戦争時代と順々に描いていく。朝ドラの連載を一個ずつ見ていったような内容に感じる。独自性はないが、大河だなあ、という感じはする。安定したストーリーだが、すこし退屈ではあるかも? テーマもいくつかあるが、どちらかといえばピニロピ女史の半生の足跡を追いかけることにフォーカスしているので、読み物としてのドラマ性や構造性などには固執していないかも。面白いかどうかは人を選ぶ。2024/06/08
sasha
4
父は帝政ロシアの海軍将校。ロシア革命を逃れて日本に亡命。それだけでも波乱万丈。日本での定住先は日本への亡命を手引きしてくれた日本軍人の故郷・会津若松。日本語の習得だって苦労しただろうに、その後、東京へ出て女医の道へ。激動の人生だと思うんだ。でも、なんか描き方が浅いんだよな。モデル小説なのは分かるんだけど、途中からご両親の影も形も見えなくなっちゃう。う~ん…下巻に期待か。2014/08/18
小桜花子
4
異国に来て戦争をはさみ、苦労を重ねながらも、たくましく生き抜いてきた実話をもとにしたロシア人女性の物語。もっと重いストーリーかと思ったけど意外と読み易く、時代背景も理解できた。生きるのに必死な時代で、今となんという違いか。モデルになったピニロピさんはご健在なのでしょうか。2014/07/25
-
- 和書
- せゝらぎ 〈第3集〉