内容説明
「きみには、こんな愛のかたちは理解できないだろう」妻子を捨ててまで、自分の心のままに絵を描き続けるロバート。彼の持つ恋文の送り主は、19世紀に一瞬の光芒を放って消えた女流画家ベアトリスだった。奥ゆかしく夫に仕えながらも、夫の伯父に心奪われ、苦悩するベアトリス。彼女は、なぜ若くして絵筆を折ったのか?ロバートの心の闇と、どのような関係が―?真実をさぐるため、精神科医マーロウは、アカプルコ、そしてパリへと向かう。
著者等紹介
コストヴァ,エリザベス[コストヴァ,エリザベス][Kostova,Elizabeth]
作家。イェール大学卒業。ミシガン大学にて創作学修士号取得。ホップウッド賞を受賞した前作『ヒストリアン』は全米ベストセラーとなり、44カ国語に訳され、世界で150万部発行された
高瀬素子[タカセモトコ]
翻訳家。1960年生まれ。東京大学文学部英文科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガクガク
32
ロバートが憑りつかれた印象派の女流画家ベアトリスの謎を追ううち、やがて精神科医マーロウも彼の代理人になったかのようにその魅力に深くはまり込んでいく。そしてロバートの元恋人メアリーとの仲も深まる。一方19世紀のベアトリスと伯父との禁断の恋の行方は…。ベアトリスが若くして絵筆を折った真の理由は? 現在と過去の画家同士の恋の物語から最後まで目が離せない。ロバートの快癒の唐突さや謎解きの答えが普通なのだが、文章でこれだけ鮮明に画家や絵画を描き出せる筆力は素晴らしい。モリゾがベアトリスのモデルなのかと思いつつ読了。2014/03/15
星落秋風五丈原
17
自分も絵の心得がある医師マーロウが奇矯な行動を取る画家ロバートに関わっていくうちにある女性ベアトリスの存在に気づく。一度も会ったことのない男性を虜にするとは恐るべし。本人にその意思がないとしても一種のファム・ファタールでは。全く架空の存在ながら彼女や彼女の描いた絵が目に見えるようだった。2014/05/05
akio
12
ミステリーとして見るなら、下巻に入ったからといって大きな動きがあるわけでもなく、あかされる謎も想像通りで驚きはないわけです。とはいえ、佳境になってあらわれる「白鳥泥棒」の存在感に胸をうたれます。それを見る前と見た後で大きく世界を変えてしまうような作品、才能がまるで本当にあったかのような描写はなかなか良かったです。モデルになった印象派前後の絵画を観に美術館へ足を向けたくなりました。2015/02/11
わんこのしっぽ
11
予想通りの結末だったかな^^;もう少し捻りがあっても。絵画や、画家の描写は素晴らしく、実在したんじゃないかと錯覚を起こしそうに。2013/02/17
touchthepeak
6
デビュー作の「ヒストリアン」が世界的に大ヒットした作者の第二作。大長編だった前作程ではないにしても、単行本で上下巻の大作で、テーマは絵画と画家への妄執。日本人にもなじみの深い印象派の時代の絵画が多く取り上げられていることもあり、読んでいて退屈等は感じませんでしたが、それにしてもキリスト教の歴史とドラキュラ伝説の関係等を描いた前作と比較するとストーリーの密度が薄く、全体として冗長な印象。テーマや語り口等は好みの部類なんで、もう少しコンパクトにまとめて欲しかったところです。2015/01/18
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