内容説明
世界初の本格的近代戦争において華々しく散った広瀬。「軍神」のベールを取り去り、その実像と「死」の意味を問い直す異色の歴史小説。
著者等紹介
東郷隆[トウゴウリュウ]
1951年生まれ。国学院大学助手、コンバットマガジン編集者などを経て、その後、作家生活に入り『大砲松』(1993年)で吉川英治文学新人賞を受賞。『狙うて候銃豪村田経芳の生涯』(2004年)で新田次郎文学賞を受賞する。歴史や軍事に関する該博な知識を駆使して、歴史・時代小説の問題作を精力的に発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
22
歴史。なんだか新しい視点です。アリアズナとは何もなかったと著者は論じます。最近の資料では、アリアズナのお父さんがロシアの水雷関係の軍人だったということで、アリアズナにハニートラップをかけたり、かけられたりしていたのではないかと。なるほど!あの時代にロシアに行くということは、スーパーエリートなわけですから、愛だの恋だのいってられないだろうし、ロシアでは諜報活動も行っていたに違いありません。最後の著者と編集者との対談みたいなのはいらなかったかな。新しい廣瀬武夫像が頭の中に広がりました。2018/08/16
金吾
21
広瀬中佐に対しては、軍神と『坂の上の雲』から得るイメージを持っていますが、その他の面を知らしてくれる本でした。2023/09/07
鐵太郎
10
広瀬武夫とは、こう言う面もある人だったのか、と目のウロコが落ちる一冊。ロシアにアリアズナだけでなくもう一人「恋人」がいた、とか、共に死んだ杉野兵曹との関係とか、清水次郎長とのエピソードとか。なるほど、こういうことがあったのか。広瀬という豪快な人物の中にある二面性など、始めて気づいたこともあります。ここにいるのは、単純な硬骨漢ではない、二面性をもったもっと複雑な人物。偶像を引きずり降ろしてみたその向こうに、たしかに 「魁偉な」 海軍士官、広瀬武夫が存在したようです。 こんな人物伝って、面白いね。2013/04/30
ゆずこまめ
1
軍神として崇められたりロシア美人とのロマンスがあったり、何かとエピソードの多い人です。でもそういうものに紛らわされず等身大の広瀬を見つめようとしている著者の姿勢が好感度大。歴史好きな人には読んでもらいたい本。いい意味でちょっとクールダウンできます。2010/12/23
wasabi
0
広瀬はマスコミが軍神と書き立てて後、英雄として存在感が膨らむ。前半は、そうした魁偉たる広瀬の武勇が詳しい。しかし、後半は編集担当者と著者の対話形式で、これまで小説を通して語られてきた広瀬像に待ったをかける。ロシアでの女性関係も、微妙な事実を明らかにする。確かに、近代史は作家の虚構を離れて史実を見つめないとマズイなと教えられる。2012/05/07




