内容説明
上杉謙信の義の心を受け継ぎ、兜の前立てに愛の一文字を掲げ、戦国の世を駆け抜けた上杉家知謀の執政・直江兼続。豊臣秀吉を魅了し、徳川家康を畏怖させた傑物。その苦闘と栄光の生涯。第13回中山義秀文学賞受賞。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学商学部卒。1988年、『花月祕拳行』(講談社)で作家デビュー。新史料をもとに描く旺盛な作家活動には定評があり、時代小説界に新風を巻き起こしてきた。『天地人』で第13回中山義秀文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐治駿河
42
天地人(上中下)総括すれば、火坂先生の作品は読みやすいですが、私自身あまり感情移入しにくい作品が多いですね。この天地人も楽しくは読めるのですが、直江兼続に感情移入いにくくはありました。むしろ各場面で他の登場人物目線で物語を追ってしまったりすることがよくありましたね。ちなみに下巻は上杉家転封、最大の見せ場の関ケ原の直江状ですね。そして関ケ原後は上杉家の存続に奔走します。最後は大阪の陣にて幸村との対面のシーンは時代の流れを感じさせる場面ですね。2024/09/25
Our Homeisland
14
軸がぶれない伝えないことがはっきりしている骨太で正統派の歴史小説でした。主人公のことを余すことなくよく伝えていました。石田三成と真田幸村という影響を与え合った人物たちのこともよく描かれていました。脇役としては「かぶきもの」として知られている前田慶次郎が良いスパイスになっていました。また、本多正信の次男という人物も良い味を出していました。実在の人物としてかなり奇異な生き方をしたようです。この前「決戦!」シリーズで水野勝成を読んだ時にも思ったのですが、まだまだ知らない人で変わった生き方をした人がいるのだなぁ。2019/09/27
ふくいち
12
兼続は敗軍の将の一人でもあるわけで,関ケ原以後の描き方が相当難しい。三成の様にそこで終わったわけでも,幸村の様にその後大活躍したわけでもないし。それまでの義だ仁愛だとの主張に関わらず,家康の天下で,長いものに巻かれて行かざるを得ない過程は読み苦しい。大幅減封された上杉家を守るための苦渋の選択はわかるのだが。謙信の義の心を受け継ぐ兄弟弟子たる兼続と幸村。大坂の陣直前,密かに会い語り合う二人。対比してしまうと己を貫く幸村の方が魅力的に感じてしまう。直江状をクライマックスにして良かったのでは?2016/09/19
yomomo
9
激動の下巻。ビッグイベントが続くが意外とあっさり書かれている印象。2024/02/27
わらわら
9
秀吉が天下のしたで会津へ移封を下される。読者としてはショックである、読者以上に兼続は落胆しただろうが…百二十万石の領土を受け兼続にとってはこの期がよい時代だったのかもしれない。兼続は関ヶ原の戦いにどうでるか?実に気になる。関ヶ原戦いの前に福島での戦いが始まる。その戦略も実におもしろい。追い打ちをかけようとした兼続を卑怯だと「義」を選ぶ景勝…無念さが滲めるでる兼続が描かれている。関ヶ原のあとは家康に従い上杉家を守ろうと我を捨てて生きるその姿にも胸をうつ。火坂雅志氏の歴史小説はわかりやすい。また読んでみよう。2024/01/22