内容説明
激動の戦国乱世に、みずからの不利益を承知で、背筋を伸ばし、男をつらぬいた“義”の武将たちの生き様を、上杉家の知諜の執政・直江兼続を中心に描く。
著者等紹介
火坂雅志[ヒサカマサシ]
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学商学部卒。1988年、『花月祕拳行』(講談社)で作家デビュー。新史料をもとに描く旺盛な作家活動には定評があり、時代小説界に新風を巻き起こしてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GaGa
37
正直軽い。今まで「全宗」「覇商の門」など、この作者の傑作を読んできただけに、どうにも軽くて、荒っぽい作品に思えてしまう。大河ドラマのために急遽書いたのであろうか。直江兼続は個人的には好きな戦国武将であるだけに、すごく残念。この作者の作品では今まで読んだ中では最下位。2013/01/14
Haru
29
兼続が主家存続のため、信念を「義」から「仁愛」にシフトさせるところは、まさに有能な為政者。しかし謙信の教えを受け継ぎ、守り、どんなときも揺るがない景勝の存在なくしては、ここまで力を発揮できなかっただろうな~。関が原決戦に向け引き返す家康を「背後から討つことは義にもとる」と禁じる景勝と「いま追えば天下にも手が届く」と主張する兼続のやり取りが本作の山場かな。兼続と、石田三成、真田幸村との関わりの書かれ方も面白かった。上杉からみる秀吉死去~関が原~大阪夏の陣は、力関係の移動が非常に分かりやすかった。2013/10/09
Wan-Nyans
27
★★★★09大河原作。直江兼続といえば上杉家執政にして所謂”直江状”で有名だがそれ以上に”愛”を掲げた武将として強烈な印象を残す。今でこそ気恥ずかしいフレーズだが領民への仁愛を示し、年下の真田幸村や200年後の上杉鷹山など多くの後進に影響を与えた。戦国武将は遍く利で動く中、上杉家は敢然と”義”を掲げ、その中に”愛”を見出した彼等の何と爽快なことか一。因みに大河は無口な景勝役の北村一輝がハマり役で、自分は兼続の妻・お船役の常盤貴子にもうメロメロでした(〃ω〃)2023/07/15
再び読書
17
流石に終盤は家康から上杉家を護る事に、全力を注いだ寂しさがあった。幸村との交わりについては少し物足らないところもあったが、三成の自分を犠牲にしてまで貫き通そうとしたこれまた義と言える心持ちに共感した兼続が、不識庵謙信の精神を自分なりに受け継いだ事が書かれてあり、感動を呼ぶ。家康を挟み撃ちに考えた計画自体は検討はずれでも無く、怜悧な三成の計算違いが無ければと思う。また、家康への追撃が実施されていればとも思いを馳せる。たらればは詮無い事だが、浪漫を感じる。「天の時、地の利、人の和」義に生きた漢の物語2013/12/18
へたれのけい
7
読後の「すっきり感」とか「どっしり感」がありません。面白く読ませて頂いたのですが、一番の山場はどこ? 兼続の最大の悩みはなに? 見せ場は用意されてるし、飽きないのですけれど物足りなさの残る話でした。 そうですね、「面白いけれど物足りない」がぴたりとくるな。2013/08/10