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サーカス団長の娘

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  • サイズ B6判/ページ数 341p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140054758
  • NDC分類 949.63
  • Cコード C0097

内容説明

ペッテルは、天性の才能をもつストーリーテラーだった。幼いころから、湧き出る物語のアイデアをもてあましてさえいた。やがて彼は、それらのアイデアを創造力の行きづまった作家たちに売って生計を立てる、闇のビジネスに手を染めていった。獲物は向こうからやってくる。ペッテルは張りめぐらした巣の中心に陣取る蜘蛛だった。しかしあるとき、彼は自分自身がその蜘蛛の糸に絡めとられていることに気づいた…。自分の生み出した物語に翻弄されたある男のたぐいまれなる人生。

著者等紹介

ゴルデル,ヨースタイン[ゴルデル,ヨースタイン][Gaarder,Jostein]
作家。1952年ノルウェー生まれ。1997年に夫人のシーリ・ダンネヴィックとともに「ソフィー基金」を設立し、環境を破壊せずに発展していくことが可能な未来のために貢献した個人や団体に対し、毎年「ソフィー賞」を授与している

猪苗代英徳[イナワシロヒデノリ]
翻訳家(北欧語)。1952年生まれ
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

眠る山猫屋

44
眩暈がするような螺鈿細工の煌めき。語るべき物語を無限に抱えたペッテルの生涯。しかし語るべき物語はペッテルから溢れ、ペッテルはそれを切り売りする道を選ぶ。だからこの物語の中で繰り返される〝サーカス団長の娘〟のモチーフは、スパイラルを描いて悲劇に結ばれてゆく。〝蜘蛛〟と呼ばれ、文学界のフィクサーになったペッテルは終始孤独だ。彼は豊かだが、自分が紡いだ物語の断片に翻弄され墜落していくのに最後まで気づけない。インセストの罠は少々陳腐だが、物語の結びかたは鮮やかだ。ペッテルの人生の締めくくりも、小説の終り方も。2020/04/02

星落秋風五丈原

26
色とりどりの小箱が入れ子になったチャイニーズボックスを思わせる。物語の中にいくつもの独立した物語があり、社会風刺、文明批判もあれば、ミステリ風のサスペンスもある。主人公にしかその姿が見えないという小男メートルの幻出はゴルデル一流のマジックリアリズム。2005/03/21

愛玉子

15
天性のストーリーテラーだった少年は、作家たちに小説のネタを売る商売を始める。いくらでも湧いてくるアイディアは高く売れ、彼の人生は順風満帆のはずだった。ストーリーに組み込まれた話の種はどれも奇想天外で面白く、一冊で何冊も読んでいる様な気分を味わえる。中でも彼がとりわけ気に入っている話が『サーカス団長の娘』。少しずつ形を変えながら繰り返し語られるその物語が、やがて彼の人生を蝕んでいく。破滅がわかっていても逃れることが出来ない、ギリシア悲劇の予言のように。ちなみに『ソフィーの世界』とは全く別系統の物語。2010/03/09

熊猫

11
物語の神になりそこなった男の物語。原因は愛。 入れ子式の小説が面白くもあり。放漫な男の人生が痛々しくもあり。 オチにつながるキャラクタが登場した瞬間にネタバレしちゃうのが惜しいな。2015/09/26

6
読み終えてから『ソフィーの世界』の同著者だと知った。次から次へとアイディアを生み出すペッテル。アイディアを売り、己自身は表に出ない。ファンタジー工房とまで呼ばれた彼が半生を綴る。涌き出るアイディアと彼に影響を与えた女たち。破綻していく【作家援助】辺りにもう一山ほしい気もする。完璧にはほど遠い一人の男としてのラスト。2014/03/11

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