漱石の巨きな旅

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  • サイズ B6判/ページ数 188p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784140054574
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0095

内容説明

誰にも理解されなかった漱石の英国留学の自負と苦悩、「満韓ところどころ」の旅の謎。その二つの「旅」の意味を根底から解明した、書き下ろしによる本邦未発表の画期的漱石論。

目次

序章 二つの「旅」の意味
1部 「英国留学」の旅
2部 「満韓ところどころ」の旅

著者等紹介

吉本隆明[ヨシモトタカアキ]
1924年東京に生まれる。1947年東京工業大学理学系化学科卒業。詩人。評論家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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まーくん

82
『満韓ところどころ』繋がりで、こんな本まで辿り着いた。学生運動で世情騒然としていた頃に学生をしていた者としては思想家吉本隆明や『共同幻想論』は知ってたが内容はとんと…。勿論漱石に関する評論も知らなかった。漱石の二つの旅として英国留学と旧友の満鉄総裁中村是公からの招きに応じた満州旅行を取上げ、漱石の心情を深く読み解く。二年間の留学は漱石の病的資質を一挙に噴出させ、倫理的に自己を解放させた遅まきな開花で、『満韓…』では学生時代の悪童グループの再会を満州で果たした旅の記録に留めたいという意図が感じられるという。2021/08/03

マーブル

14
英国留学中に「狂気」に至ったとされた状態は、文学の研究と文学の創造の岐路を提供するものと漱石自身は考えていた。彼の被害感が妄想の域にまで至る状態は、同時に想像の物語が作られる状態だというのだ。漢文学は自然と人間の関係を描き、英文学は人間と人間の関係を描く。漱石の作品を制作順に読んでみると次第に漢文学の影響が薄れていくように思える。それは漢文調の文章が減ってきたということだけでなく、自然に与えていた眼差しによる描写がどんどんと少なくなり、その対象が人間、人間関係に重きを置くようになっていくことからもわかる。2023/06/06

shinano

6
読み進んですぐに思ったのは、「漱石日記」「文学論」を読んでおいてよかったということでした。英国留学と満州朝鮮への漱石が海を越えた行動での内面を取り上げ、漱石の「漾虚集」「鶉籠」と「満韓ところどころ」を吉本さんの観点から漱石を分析したものです。漱石の日記や断片メモ、夫人の口述「漱石の思ひ出」などを織り交ぜながら、漱石好きの吉本さんだからこその漱石の内面にくすぶる倫理観の移りゆきを炙り出して、創作ごとへどう写し込んだのかを語っています。『趣味の遺伝』と『野分』においての吉本さんの見方が同感できちゃいました。2010/05/01

紅藍

1
「倫敦消息」および「満韓ところどころ」前後の事実関係を把握するには役立つ一冊。しかし漱石の仏訳書の序文だったためか、論のところはすこし雑駁としている。2017/10/02

timeturner

1
ちょっと期待外れ。まあ、漱石については語られつくしているから何を読んでも二番煎じに見えてしまうのは仕方がないのかも。2013/01/14

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