内容説明
書き替えられたポツダム宣言。その発表の直前になって天皇制維持条項や参加国としてのソ連の名が米国によって外された。結果として遅れた可能性のある太平洋戦争の終結。原爆使用によって一人勝ちし、戦後処理に主導権確保をねらう米国。その米国によって外されたソ連は、対日停戦を引き延ばしてヤルタの約束の保証をめざし、シベリア等でさらなる日本人の悲劇を生んだ。太平洋戦争の“終わらせ方”を問う画期的な終戦史。
目次
第7章 重慶への至急電報(原爆投下と、“分別をつくした熟慮”;材料与えずに原爆使用論議をさせる;原爆投下とモラル・ハザード ほか)
第8章 「黙殺」(二)―半世紀後の鎮魂歌(黙っているのが賢明、と外務次官;軍部の威圧で世論を封じ込め;カンカンになった東郷外相 ほか)
第9章 大統領命令が見当たらない原爆投下(当たり散らすチャーチル;“ビッグ2・5”のポツダム会談に;ポ宣言から原爆までの“間合い” ほか)
第10章 アメリカの終戦、日本の終戦(原爆論議は“タブー”の白亜館;記者クラブに“原爆カクテル”;せっかちすぎた、とマーシャル将軍 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カラコムル711
1
ポツダム宣言、原爆、無条件降伏など日本の敗戦に大きな影響を残したこれらにつき、史実にそってわかりやすく書かれた貴重な良書である。2017/11/23
横丁の隠居
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本書を読むことは、ポツダム宣言が「発表」されてから、日本に原爆2発が落とされ、ソ連が参戦し、日本が宣言を受諾して戦争が(一部)終わるまでの連合国側、日本側双方の慌しい動きを追体験することであり、著者はもちろんのこと読者にも相当な精神的負担を強いるものだ。しかし、戦後72年を経て、あの戦争がどういう意味を持っていたのかを捉えなおすことの必要性は日々増しているように思う。大戦はもちろん簡単に避けえたとは思わないが、空前であり絶後となることを切望して止まない。2017/11/28