内容説明
私たちの細胞の中で身体をつくり、エネルギーを生み出すミトコンドリアは、真核生物と別の生物が助け合う、共生によって生まれたものとされてきた。しかし、近年の研究成果によって、宿主真核生物が遺伝子の90%を奪い取り、強いものが弱いものを支配するという“収奪的共生”によって誕生したことがわかった。分裂を制御する“リング”の発見、二次・三次共生における細胞内小器官の消失、母性遺伝など、数々の証拠からミトコンドリアの誕生と謎について大胆に推理・論証してゆく。生命は誕生以来、巧妙な細胞分裂や、進化を生み出す性の仕組みをつくりあげ、ミトコンドリア、葉緑体を得て、地球を覆う多様な生命の諸相を出現させたのである。闘う生物学者の半生をかけて、生命誌はいま書き換えられる。
目次
第1章 分子から生命へ
第2章 ミトコンドリアの祖先の誕生
第3章 宿主真核生物は何か
第4章 原生生物細胞へ入り込んだエネルギー発電所
第5章 植物のミトコンドリアからの手紙
第6章 菌類へ侵入したミトコンドリア
第7章 ミトコンドリアで辿る動物細胞の進化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
手押し戦車
10
ミトコンドリアには小器官の中でクエン酸回路で代謝エネルギーを作る。葉緑素は太陽エネルギーを利用して糖化合物やタンパク質も新しく合成する事が出来る最も進化した細胞。生物は植物の作った栄養素を利用することによってのみエネルギーを作り生きていける。そういう意味では植物に依存している生物。超ハイテク自然界の発電所であり細胞の死にも関わる司令塔でもある。嫌気性細胞が有毒な酸素を使わざるを得なくなり好気性細胞を取り込んだ瞬間ミトコンドリアの原型が出来た。強みを最大に発揮させた瞬間!2014/09/17
platoon
2
Selfishだなと印象受けたが読み進めるうちに情熱の人であることがわかった。最近の生物学の状況、顕微操作分子生物学ってなんだよすごいことになってるなぁ。一般向けだがすごく堅い、50PPHがやっと。再読希望2012/01/19
トウリン
0
ほぼ専門書という感じ。気楽には読めないし、基礎的な知識を持ってないとちんぷんかんぷんかも……と。授業で習ったはずなのに、色々忘れてたなぁ。2016/11/12
takao
0
ミトコンドリアと葉緑素は兄弟2016/08/30
Riko
0
図書館で借りた2012/05/27
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- 和書
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