内容説明
ヴァルター・ベンヤミンは、「歴史の収集家」であった。商品・博覧会、写真、鉄骨建築など、「近代」という歴史の断片を拾い集めながら、技術と大衆の“進歩”と“繁栄”に彩られた近代という「悪夢」からの「覚醒」を試み、時代に対して厳格な「否」の態度を崩さなかった。ベンヤミン論に先導的な役割を果たし続ける著者により、十九世紀の“根源の歴史”を見据えたベンヤミン像が立ち上る。
目次
第1部 ベンヤミンの思想(複製芸術時代の収集家;危機を生きた批評家;覚醒を待つ都市―『パサージュ論』への一アプローチ;流行・地獄の幻映―『パサージュ論』より ほか)
第2部 ベンヤミンとはなにものか(ベンヤミン研究の現状―好村冨士彦監訳『ベンヤミンの肖像』西田書店刊によせて;ベンヤミン人と作品;対象に肉迫する意欲―『ドイツ悲劇の根源』;二つの精神的極が一瞬に結ばれ―新時代の要求する課題に応えるべく自己変革を推し進める ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
2
あまり私が好きなタイプの本ではなかった。まず時系列がバラバラに書かれたものなので、本人も自分が何を書いて何を書いてこなかったのかの意識が曖昧で、論点の繰り返しと飛躍の目立つ文章が続き、辟易する。ベンヤミンの面白いところはその文体や発想力の強靭さとユニークさ、そしてそれを支える恐るべきヨーロッパの知的伝統に対する人文的教養にあるのは言うまでもないが、それを追尾して解説出来る人は恐ろしく少ない。この時期に書かれたベンヤミンについての本はどれも彼の伝記的事実に目を奪われてばかりで、それは何度も書くものではない。2016/12/25
瀬希瑞 世季子
1
自らを「メシア」としてベンヤミンを読むこと!2022/11/03
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