出版社内容情報
時に食中毒を引き起こし、人間の食生活を脅かす、フグなど毒を持つ魚や貝など海の生物の生態に迫り、なぜ毒を持つのか、どんな役割を果たしているのかなど、その不思議を解き明かす。
内容説明
フグをはじめ、その他の魚や貝、カニ、海藻などさまざまな魚介類がもつ毒(マリントキシン)は、時に食中毒を引き起こし、人間の食生活を脅かす。一方、毒をもつ生物にとって、毒は生きるための防御物質であるが、まだまだ、わかっていない点も多い。そこで、それらの生物はなぜ、どのようにして毒をもつのか、毒はどのような役割を果たしているのか、などについて、長年のマリントキシン研究で九六年日本食品衛生学会賞を受賞した著者がフィールドワークの成果を踏まえ、わかりやすく解明する。
目次
第1章 フグの毒
第2章 生物界に広く分布するフグ毒
第3章 フグ以外の魚の毒
第4章 貝の毒
第5章 カニの毒
第6章 海藻の毒
第7章 もしも毒が犯罪に使われたら
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いきもの
4
フグ毒を中心にその他魚、カニ、海藻などの毒に関しての本。主に自己生成するわけではなく、微生物由来の毒を食物連鎖の生体濃縮で獲得。他種より毒耐性が高く自己防御や卵の防御に使っている。また、一部は採餌行動に利用。テトロドトキシン以外の毒についてもなかなか興味深い。96年発行のため現在の知見とは異なる部分も多いかとは思われる。2021/01/25
takao
2
フグ毒の起源は細菌。毒の生産者には渦鞭毛藻プランクトンが多い。フグは毒に対して抵抗性がある上、蓄積する性向がある。 ☆毒が生物を守ることは分かるが、捕食生物がそれを学習なりするのか?2021/03/24
kappa
0
フグ以外にもフグ毒を持つ生物(ウモレオウギガニ・スベスベマンジュウガニ・ヒョウモンダコなど)がいること、フグの毒は調理しても減らないとされているがこれは食品衛生上の話(命に関わるから)で、本当は多少分解されること、ナシフグが一旦全面的に食用禁止となったが一部解除となった背景、養殖フグはほとんど毒をもたないことなどが記載されており、とても面白く読めた。2014/04/06
fuchsia
0
あああ、面白すぎるマリントキシンの世界。日本ではほぼ九州にしか見られない鯉毒による死亡事件、人間の体内ホルモンを過活性(?)させて死に至らしめる海藻!(刺身のツマで皆様にもお馴染み)そして、毒性物質を検証中、検体の魅力(というか自身の食い気)に負けて食べてしまい、死の恐怖に直面する野口先生・・・・。けど、ヤドクガエルのTTXは何由来なんだろう?2012/10/20
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
0
○…実は出てくるのはフグだけではないのです。意外に身近な食用に供する魚貝類にも毒は存在するのですよ。2009/05/09
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- 和書
- 一度きりの大泉の話