内容説明
不正薬物撲滅を目指し、各国政府を支援する「国連薬物統制計画」。商社マンから“天上がり”をした国際公務員が南アジア地域の責任者としてインドに赴任した。筆者は、国際協力の場で、着任当初から援助へ導く交渉の難しさに直面しつつ、だが、阿片に冒された人びとや草の根NGOとの出会い、同僚との情報交換を通じ、徐々に支援の輪を広げてゆく。環境・人権・社会開発に繋がる麻薬問題の現場で、一人の日本人がどのように立ち働き、活路を見出していったか。本書は、その試行錯誤の3年間を綴った、貴重なリポートである。
目次
1章 インドへ―商社マンから国連職員に
2章 冒される人びと―私たちは何をすべきか
3章 NGOの協力―個性あふれる人びとと
4章 インド政府と国際機間―手ごたえある仕事相手と
5章 阿片の生産現場へ―ヒンディー・ベルトとその周辺
6章 北東辺境への旅―インパール・ウクルル・コヒマ
7章 マスタープラン―南アジア諸国との協力を目指して
8章 悠久と変動―一九九〇年からのインド
終章 インドを去る日