NHKブックス<br> ロシア正教の千年―聖と俗のはざまで

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ロシア正教の千年―聖と俗のはざまで

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  • サイズ B6判/ページ数 232p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784140016800
  • NDC分類 198.19
  • Cコード C1316

内容説明

九八八年、ロシアはビザンチン帝国より、東方キリスト教を受洗した。結果、文学・美術・建築を移入し、ヨーロッパ文明圏から隔絶された。同じ神を信仰しながら、ローマ法、ルネッサンス、宗教改革を経験し得なかったのである。以来、絶えざるモンゴル軍の襲来、ロシア王朝の盛衰、革命の嵐の中で、抑圧に耐え時代の権力と斬り結んだもう一つのキリスト教の道のりを辿り、政治と宗教が渾然となって織りなす聖なるロシアの千年を跡付ける。

目次

第1章 受洗千年祭を祝ったロシア正教会
第2章 生き方としてのキリスト教信仰
第3章 ロシア愛国主義の源流
第4章 第三のローマ・モスクワ
第5章 正統と異端
第6章 国家による教会支配
第7章 ロシア革命と“無神論”体制の誕生
第8章 ソヴィエト体制下のロシア正教会
第9章 宗教ルネッサンスと内部分裂のジレンマ
結章 ソ連崩壊後のロシア正教会と東方正教世界

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

35
カラマーゾフを読んでいる最中は、ドストエフスキー論の類は手にしまいと思っていたが、ロシア正教のことを知りたく、読み始めてしまった。教義の解説は殆どなく、ロシア史を宗教(=ロシア正教)という断面で素描した感じ。10Cキエフ公がギリシャ正教を受容して以来、「ロシア人の血と肉」になった。ビサンチンほど哲学的ではなくラテン教会ほど制度的でもなく、「慈悲と自己卑下」に生きる「生き方」として受け入れた。一方で17Cピョートル大帝以降は完全な国家支配下になり世俗の大臣がトップになったことも知り、なるほどと思う。 2014/08/08

キムチ

19
内容的には興味ぶかく、特に最近のウラル独立騒動に連なる個所が多々あって薄いながら、重ーく、読みとばせぬ歴史的事実のてんこ盛りだった。残念ながら20年余り前の発刊物・・とはいうものの体制においてはさほどに変わっていなかろうと思うのが感想。ローマ帝国、ビザンチン帝国、そして東方キリスト教の受洗・・広大な土地をすべていること自体、現代では摩訶不思議な感じがするロシア。世界史の半分以上の事実に関わっているロシア。それからすると20年なんて針の先もないうねりの出来事かも。2014/04/09

崩紫サロメ

11
正教会について知りたい人にはこの人の著書(本書や山川の『キリスト教の歴史3』など)を薦める。信仰者でありながら、正教会が抱える問題を冷静に観察し、指摘している。本書はソ連崩壊直後に書かれたロシア正教会についての概説書であるが、ロシア正教会の民族主義的な姿勢、後に更に深刻化するウクライナやコンスタンティノープルとの対立について、相手を一方的に非難せず、歴史から読み解こうとしている。ちなみに著者が1992年に面会したコンスタンティノープル総主教、今も現役。2019/12/09

うえ

7
「ロシア人の民族的性格をあえて特徴づけるとすれば、彼らは情感に溢れ、芸術的なセンスに恵まれた民族であり…"宗教的な"民族であるといえよう。実際ロシア人は、思想であれ、哲学であれ、熱狂的に信仰し、しばしばそれらを一種の信仰告白という形で表現した…ロシア人が得意とした表現形式は、論理的なものではなく、音楽や絵画といった芸術的な形態であった。彼らは"神秘主義"を好み、ロシア精神の全一性ー彼らはそれをソボールノスチという言葉で表現したーを信じた」ベルジャーエフは、ロシアは宗教的な「信・望・愛」で理解されるという。2022/08/15

D.Okada

5
988年のキエフ大公ウラジーミル1世の正教会受洗以降のロシア正教の千年の歴史を内情と他宗派との関連でまとめられたもの。色々と興味深いところはあるが、非スターリン化を図ったフルシチョフが1930年代のスターリンに匹敵するくらいの宗教弾圧を展開し、ロシア正教会修道院がロシア全土で15に減少し、一万におよぶ教会が活動を停止したという事実に驚愕。共産主義ゆえ徹底していると言えば徹底していることにはなるが、おそろしいことである。2011/07/20

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