内容説明
戦後から復興へ、日本とドイツは、どのように歩んできたのか。両国を取りまく国際政治環境がもたらす占領政策の違い、東西冷戦構造への対応、さらに吉田茂、アデナウアーを中心とするそれぞれの指導者の思想が、憲法問題、再軍備問題など戦後政治の動向を導いてきたのではなかっただろうか。本書は、それぞれの「戦後」の道程を詳細に論じ、激動する今日の世界新秩序のなかで日本とドイツの原型を示す。
目次
第1章 ドイツの降伏と占領
第2章 日本の降伏と占領
第3章 占領改革の日独比較
第4章 二つの憲法・二つの政治思想
第5章 冷戦と日独の経済復興
第6章 ドイツの講和と安全保障
第7章 日本の講和と安全保障
終章 世界の中のドイツと日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
9
ドイツの首相と日本の首相の立ち居振る舞いを見ると、その違いは鮮明で同じ敗戦国なのに、なぜこうも違うのかを知りたく思い読んでみた。両国とも連合国の占領・統治を受けたわけだが、ドイツは米英ソ仏の四カ国だが、日本は実質アメリカ一国と違い、連合国による対独対日方針もドイツは連邦国家という事情もあり異なることや、憲法制定過程と成立時期が国際情勢を反映したことで大きく違うものになったことがわかった。しかし理想的な憲法(その成立過程が「押しつけ」であれ)なのに軍国主義への戦後の取り組みの違いが両国では違うと感じた。2021/03/02
ジュンジュン
7
ドイツ(西独)と日本。敗戦と占領、そして経済大国へ。同じような軌跡を辿りながらも、過去への贖罪で大きく評価が分かれる。その違いの源流を求めて、歴史的経緯と占領期、憲法、再軍備で分析する。特に憲法(日本国憲法とボン基本法)。2年半の差が決定的な違いを生み出したとする考察はお見事。2020/12/25
根室
0
日本とドイツがどういう経緯で現在の立場に至ったのか。もし冷戦という国際背景がなかったとしたら、日本もドイツも小国に分割されたり農業国に改造されたりしてたかもしれないというのは恐ろしい。2011/06/04