内容説明
無数の細部からなる映画の魅力―。豊かな映画史の中から言葉を紡いだ心躍らせる講義。
目次
「モンゴメリー・クリフ(ト)問題」について―映画史のカノン化は可能か?
転倒=交換=反復―ハワード・ホークスのコメディについて
ジャン・ルノワールまたは「枯れ木」と「笛」
ジョン・フォードと「投げること」
ジョン・フォード『幌馬車』―この贅沢な「B」級映画をどう見るか
そして、船は行く―二〇〇六年の溝口健二試論
小津安二郎とその「憤る女性たち」
「とんでもない」原節子―小津安二郎はいまなお未来の作家であることをやめてはいない
成瀬巳喜男の映画の魅力―中古智の仕事から見た
マックス・オフュルス―『快楽』について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
77
上映会などの講演をまとめたもの。晦渋な評論とはまったく違う読みやすさ。この映画史家の凄さを実に味わえる。映画狂人といっても過言ではない愛に感服。神格化されていた/いるのも頷ける。また、この場合は映画であるが、評論・批評というものにいろいろ刺激を受ける。映画の画面を本当に見ているのかという恐ろしい問題提議におののく。先入観や通念だけで作品を語る評論家が多いことを嘆いている。辛口であるがオススメの良書。2018/06/29
K・J
4
マニアとか、オタクではなく、まさしく映画狂人。黒澤明は、無声映画をとっていないから、ショットが弱いのではないか。今はDVDで巻き戻せるが、昔はこれが見られる最後だと思ってすさまじい集中力で映画を見た。ゴタールへの愛ゆえのツンデレ愛。監督の見られる全ての作品を縦に見ていき、そこのショットやモチーフにたいして語る仕草は狂っているとしかいいようがない熱量を感じる。ハスミン(愛ゆえの愛称)の視点を少しでも継承できればいいなと思った。2015/09/25
Momi Yamashita
3
非常に濃厚な読書体験だった。ハリウッドの豪華絢爛な世界の歴史でも知っておこうと軽い気持ちで手に取ったが、ハリウッドが歩んできた道は自分が想像していたものと全く違う。ハリウッドとは今まで社会に翻弄され続けてきた製作者たちの歴史であり、アメリカとの戦いなのだと知る。圧倒的な情報量に圧倒されながらも「映画の伝統」を受け継ぐ映画製作者の希少性について考えるようになり、鑑賞の仕方がガラッと変わった。2019/01/22
ルンブマ
1
柄谷らの、『必読書150』(https://www.amazon.co.jp/必読書150-柄谷-行人/dp/4872336569)での「反時代的教養主義宣言」とは真逆の立場の序章。 中心=共通言語はどこへ…2019/04/02
HighLand
1
めちゃくちゃに面白い本2017/02/10