出版社内容情報
時代とともに作家のイメージや、作品の読まれ方も変化しつつも、多くの読者から支持され続ける太宰治の文学を総合的に解き明かす。激動の時代を忠実に生き、不器用さから時代錯誤を演じ続け、絶望を深めながら自身の宿命に殉じていく一人の人間像、そして日本の近代のあり方までも浮き彫りにする日本文学研究を牽引する著者による太宰治研究の決定版。【東京大学出版会創立70周年記念出版】
内容説明
近代日本を活写する太宰治の時空間。日本文学研究を牽引する著者が40年におよぶ研究の到達点を示す待望の決定版。その作品と生涯の全貌が、近代という時代とともに解き明かされる―
目次
序 太宰治の時空間
第1部 揺籃期(「百姓」と「貴族」;“自尊心”の二重構造 ほか)
第2部 『晩年』の世界(習作から『晩年』へ;『晩年』序論 ほか)
第3部 中期の作品世界(“罪”の生成―『晩年』の崩壊;「太宰治」の演技空間―「ダス・ゲマイネ」を中心に ほか)
第4部 戦中から戦後へ(戦中から戦後へ;蕩児の論理―「水仙」「花火」 ほか)
著者等紹介
安藤宏[アンドウヒロシ]
1958年東京都生まれ。1982年東京大学文学部卒業。1987年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程中退。東京大学文学部助手、上智大学文学部助教授などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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OHNO Hiroshi
6
太宰治、そんな作品で有名なのがいくつかあるが。『晩年』が一番好きだし、それでもよかったのか。2022/01/07
うぴー
3
作品論・作家論・時代背景に基づく分析がバランスよく交えられた論文のほか、「人間失格」の草稿分析のように研究方法の確立に向けた問題提起を含む論考も収録されており、文学研究の幅広さを感じられる。本書と並行して太宰作品を読み進める中で、同じく自己の生い立ちをモチーフにした作品でも初期・中期・晩年にかけて表現方法が変化している様子等、より明確に読み取ることができたように思う。2022/08/29
こさと
0
県立図書館の本。 青い装丁が素敵。安藤先生は青のイメージです。 広辞苑より欲しいです。2024/02/09
澄川石狩掾
0
太宰と演劇との関わりが、「コラム」の形で複数回に分けて書かれているのが興味深かった。願わくば、「太宰と演劇」といった形で一章にまとめて欲しかった。2022/07/22