出版社内容情報
木肌に付いたシミや変色など、物理的な汚れを落とし、経年により古びた建物の視覚的な印象を操る「洗い」の仕事・技術を、日本建築の歴史から解明する。また、伊勢神宮に象徴されるような「新しさ」の美意識と、茶室のわびさびのような「古び」の美意識が、どのように醸成され、定着していったのかを考察し、「建築の経年」への新たな視点を与える。
目次
序章 日本建築における「洗い」
第1章 木肌削り出し―古代から近世に至る痕跡と記録
第2章 洗清と清鉋―中世・近世伊勢神宮遷宮記録に見る竣工儀式
第3章 灰汁洗い―近世作事文書に見る洗いの記録
第4章 近現代の洗い―「洗い」と「木肌削り出し」の発展と変容
終章 洗いか古びか―日本建築の経年美
附論 洗いの道具について―桶・箒・コソゲ・薬液
著者等紹介
中山利恵[ナカヤマリエ]
京都工芸繊維大学デザイン・建築学系准教授。高床文化研究所共同代表。金沢美術工芸大学美術工芸学部卒業。東京藝術大学大学院修士課程修了後、東京大学大学院工学系研究科博士課程、有限会社金沢設計(降幡建築設計事務所金沢分室)勤務、公益社団法人金沢職人大学校修復専攻科を経て、2012年博士(工学)学位取得。2015年12月より京都工芸繊維大学助教、2020年12月より現職。2017年東アジア建築文化国際会議にてExcellent Paper Award For Young Scholars受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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