出版社内容情報
「難病」患者の健康保険自己負担分を「医学研究への協力」の名目で補助する形態で始まった日本公費医療の「疾病名モデル」。その淵源と展開を、スモン対策、結核後の国立療養所の改組などの具体的な経路から歴史社会学的に明らかにする。
目次
序論
第1章 医科学研究事業としての公費負担医療の萌芽:スモン対策から難病へ(先行研究と視点:公費負担医療の正当化論とスモン対策;国費研究班の組織化 ほか)
第2章 研究医と難病病床:国立療養所の病床構造転換(先行研究と視点:戦後の国立療養所・国立病院の病床構造;国立療養所宇多野病院にみる難病病床の変遷 ほか)
第3章 疾患名モデルとその拡張(疾患名モデルの視点;医療費助成から福祉事業へ:研究事業と財政支出の多様化 ほか)
第4章 難病政策の国際的な三類型:疾患名モデルに基づく難病政策の展開(先行研究:医療政策における難病政策の位相;欧州の難病政策とその形態 ほか)
終章
著者等紹介
渡部沙織[ワタナベサオリ]
東京大学医科学研究所公共政策研究分野特任研究員。2018年3月明治学院大学大学院社会学研究科社会学専攻博士後期課程修了、博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員DC1(明治学院大学大学院)、日本学術振興会特別研究員PD(東京大学先端科学技術研究センター人間支援工学分野)を経て、2021年より現職。2018年、第8回日本学術振興会育志賞受賞。(研究領域)医療社会学、希少難治性疾患のELSI(倫理的法的社会的課題)研究、医療政策の歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。