出版社内容情報
障害者運動、自助グループなどに淵源をもつ当事者研究。その系譜と方法を、著者自らの自閉スペクトラム症の当事者研究を振り返りながら探ってゆく。周縁化された経験への応答として当事者研究の誕生をとらえることで、未来に受け継ぐべきものを展望する試み。
内容説明
「当事者研究ってなんだろう?」当事者研究を生み出した「周縁化された経験」とは何だったのか。障害者運動や依存症自助グループなどの系譜の中に当事者研究を定位し、著者自身の研究を再訪する。
目次
第1部 当事者活動における当事者研究の歴史的位置づけ(力を取り戻す―難病患者・障害者運動の系譜;無力を認める―依存症自助グループの系譜;当事者研究の誕生―ふたつの当事者活動の系譜の合流)
第2部 周縁者としての自閉スペクトラム者の当事者研究(障害者運動からみた自閉スペクトラム症概念批判;身体的自己感の当事者研究;自己身体を基点とした社会変革としての情報保障;置き去りにされた過去と歴史的自己感の当事者研究)
第3部 当事者研究の方法論的検討(未来へ向けて:当事者研究を仲間に伝える実践)
著者等紹介
綾屋紗月[アヤヤサツキ]
東京大学先端科学技術センター当事者研究分野准教授、当事者研究会「おとえもじて」主宰。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程修了、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひつまぶし
3
熊谷の『当事者研究』を当事者研究の当事者側から位置付けた内容。障害者運動と自助グループ、二つの源流の中に当事者研究を位置付ける整理は同じ。自身についての「当事者研究」の成果のまとめがあり、方法論的検討でしめるという構成。まずはこのような分野を確立したことに意義があるか。しかし、自己理解を深める際の他者理解はあまり示されていない気がする。自助グループ寄りの立ち位置。究極的には社会適応が優先されがちなのかもしれないが、社会モデルによる障害の解消ではなく、他者への違和感や批判を展開する余地があるのではないか。2024/05/17
takao
1
ふむ2024/09/26