出版社内容情報
計画に基づき配置された人々、インフラ、それを可能にするテクノロジー。ソヴィエト・ロシアの「五カ年計画」は資本主義諸国をも魅了した。20世紀の夢が実現したように見えた時、政治・文化の諸局面におけるどのような内的力学があったのか。イデオロギー闘争から建築現場まで、ロシアにおける計画の世紀を精緻にスケール大きく描く。
内容説明
国家の政治から個々の建築プロジェクトまでを貫き、ロシアにおける計画の世紀を精緻にスケール大きく描く。計画に基づき配置された人々、インフラ、それを可能にするテクノロジー。ソヴィエト・ロシアの「五カ年計画」は資本主義諸国をも魅了した。20世紀の夢が実現したように見えた時代の、政治・文化の諸局面における内的力学、闘争の現場。
目次
0章 「汎計画学」への序
1章 前衛の立ち位置
2章 革命の生政治
3章 インフラ・カルト
4章 芸術からのエクソダス
5章 生産と消費―反弁証法的展開
6章 計画の王国の逆説
7章 失墜の諸相
エピローグ 「社会主義リアリズム」の方へ
著者等紹介
八束はじめ[ヤツカハジメ]
建築家、建築評論家、芝浦工業大学名誉教授。1948年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒業、同大学大学院工学系研究科博士課程中退。磯崎新アトリエ勤務後、1985年UPM(Urban Project Machine)設立、2003年芝浦工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
16
ソ連の社会主義体制における計画経済の議論が中心かと思ったらとんでもない。著者は建築家ということもあって、政治や経済だけでなく美術や建築の都市計画も含め、アバンギャルドな芸術の領域にまで議論が及ぶ。社会主義リアリズムと芸術、構成主義とアバンギャルドといった、幅広く奥深い議論が延々と続く。興味深いテーマではあるものの、ほとんど消化不良に終わってしまった。本書は『汎計画学』の第一部であって、第二部はアメリカを中心に執筆中とのこと。恐れ入ります。2024/05/10
袖崎いたる
2
序文に興味深い発言がある。それってのは著者がこの本を書くにあたって総じていわゆる一次文献にあたるのではなく二次文献にあたってものしたというくだりと、その弁明に関して。いわく、一次であれ二次であれ、どのような論文も作品であることを志向するものであることに変わりはないのであり、その限りで「このこれ」「そのそれ」として結晶化された作品を参照するという点では参照者にとって優劣はない。だから、自分が自分の研究のために調べ、そしてまとめるのに二次文献を使っていることをとやかく言われる筋合いはない。──おもしろいねこれ2024/05/17