出版社内容情報
「ジェンダーと階層」は後期近代の新しい問題視角である.性別役割分業はもはや自明ではない.市場と家族を媒介として変わりつつある女性の学歴,キャリア,結婚,あるいはライフスタイルや意識など,男女の階層構造とジェンダー関係の変容の意味を考える.
内容説明
今日の日本社会は、公正な新しいジェンダー関係の構築をめざしての試行錯誤ともいえる動きとゆらぎの中にあるといえる。ではいったいどんな関係なのだろうか。たとえば、ジェンダーはある種の階層と考えてよいのか、あるいはジェンダーによってむしろ階層が分断されているのか。市場構造と家族構造とはどのように関わっているのか。現代日本社会におけるこうした階層システムとジェンダー・システムとの関係構造を明らかにするのが、本書である。
目次
1 ジェンダーと社会階層(ジェンダーと階層の歴史と論理;教育達成のジェンダー構造;女性の階層的地位はどのように決まるか?)
2 ジェンダーと市場(M字型就業パターンの定着とその意味―女性のライフコースの日米比較を中心に;性別分業を維持してきたもの―郊外型ライフスタイル仮説の検討;市場参加/社会参加―キャリア・パターンの多様性とその背景;女性の就業と階級構造)
3 結婚・家族・階層(結婚市場の変容;労働市場の構造と有配偶女性の意識;家事に参加する夫、しない夫;「理念」から「日常」へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shuuya Hoshino
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赤川学氏の論考から。既婚男女の階層帰属意識ー現在の日本社会を「上/中の上/中の下/下の上/下の下」に分けたとき、自分自身がどこに属すると考えるかーの規定要因の検討(おそらくは1995年の調査データでの検討)の結果、男性は自分自身の収入(本人の属性)が階層帰属意識を規定していたのに対し、女性は夫の収入、学歴(配偶者の属性)が階層帰属意識を規定していた。男性の階層帰属意識に妻の属性は影響をしないが、女性の階層帰属意識には夫の属性が影響を持っているとの結果である。今の調査であれば、どういう結果になるだろうか。2021/05/30