出版社内容情報
「最後の楽園」「神々の島」――それぞれのイメージを胸に,毎年大勢の外国人観光客が訪れるインドネシア・バリ島.グローバル化が進むなか,その伝統文化はどのように再構築されていったのか? バリを舞台に,観光という切り口から今日の文化生成の動態を描き出す.
目次
第1章 観光と文化の生成―人類学のパースペクティヴ
第2章 観光のまなざし―その空間と時間
第3章 つくられた楽園―オランダ植民地体制のもとで
第4章 文化観光という戦略―国民国家インドネシアのなかで
第5章 バリ・ヒンドゥーの現在―国家と観光のはざまで
第6章 楽園の演出―観光文化論
第7章 バリ観光のなかの日本人―花嫁は神々の島をめざす
第8章 もうひとつの観光開発―あらたな展開
第9章 伝統の操作―インドネシア・トラジャの観光
第10章 『カンニバル・ツアーズ』の冒険―パプアニューギニアのセピック観光
第11章 民話のふるさと―岩手県遠野の観光
第12章 グローバルとローカルのはざまで―観光人類学のレッスン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★★★★★
2
日本における観光人類学の第一人者である著者が、半ば以上一般向けに書いた入門書。バリ観光というなじみやすいトピックに加え、全体的に平易な語り口で書かれているので、大変読みやすい一冊でした。この本の出版から10年がたった現在では、もう少し踏み込んだ議論がおこなわれてはいますが、観光人類学のエッセンスを知るという意味では十分に参考になるでしょう。2010/10/11
chuchu*
0
バリを例に観光をめぐる様々な事象が分かりやすく検討されている。観光を善悪で捉えるのではなく、その地域と訪れる人々、文化接触など様々な視点から描かれていておもしろい。また観光だけではなく伝統とは何か、~らしさとは何かなど、いろんなことを考えさせられた。2013/05/21