出版社内容情報
人が他者に譲り,与えうるものは何か.逆に譲れず,与ええないものとは何か.本書は,モースの「贈与論」に〈譲りえぬもの=聖物〉への言及を見出し,マダガスカルの改葬儀礼において贈与と聖物がどのようにかかわるかを考察.モースにおける贈与の本質に迫る.
目次
第1部 マルセル・モースにおける“贈与”の世界(「贈与論」の意義と構想;「贈与論」におけるパラドクス;“贈与”と“交換”、あるいはポトラッチとクラ;“贈与”・“交換”・“譲りえぬもの”)
第2部 マダガスカルにおける“譲りえぬもの”の世界(遺体を同化する;祖先と向きあう;クロノロジーを刻む)
第3部 “贈与”と“譲りえぬもの”のあいだ(“家”と“譲りえぬもの”;“贈与”と“譲りえぬもの”のあいだ)
著者等紹介
森山工[モリヤマタクミ]
1961年生れ。1984年東京大学教養学部卒業。1994年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。広島市立大学国際学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科准教授を経て、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nranjen
5
図書館本。こんな可愛い表紙の本が新書棚にあったので思わず手に取った。利己主義的な資本主義とは異なる社会を追い求めていたであろうマルセル・モース。彼のクラとポトラッチにおける贈与と交換の概念を確認、解きほぐしながら、贈与によって残余する「譲りえぬもの」を明らかにし、改めて贈与と譲り得ぬものの関係を考察した本。「隠れて飲み食いするものに、死を!」というフィードワーク中の言葉が強烈。自分自身の何ものかを与えることによって、その残余、すなわち自分自身は何かが見えてくるという著者の主張する贈与の自己生成機能に納得。2021/11/23
takao
3
ふむ2023/12/04
Go Extreme
2
マルセル・モースにおける贈与の世界: 贈与論の意義と構想 贈与とモースの現代的意義 贈与する義務、お返しをする義務 贈与研究の方法と意義 全体性への志向 「贈与論」におけるパラドクス 贈与論の複雑性と多面性 贈与を交換しあう 〈贈与〉と〈交換〉,あるいはポトラッチとクラ 〈贈与〉・〈交換〉・〈譲りえぬもの〉 マダガスカルにおける〈譲りえぬもの〉の世界: 遺体を同化する 祖先と向きあう クロノロジーを刻む 〈贈与〉と〈譲りえぬもの〉のあいだ: 〈家〉と〈譲りえぬもの〉 〈贈与〉と〈譲りえぬもの〉のあいだ2021/10/24