内容説明
道徳の廃墟から、「正しさ」の在処を問う。神にも良心にも一般意志にもよらず、ただ「手すりなき思考」による判断の可能性を問い続けたアーレント。世界のリアリティと人間の複数性をめぐるアーレント思想の軌跡をたどり、その強靱な思考の核心をつかみだす。
目次
序章 アーレント「純粋政治批判」を解読する
第1章 アーレント判断論をめぐって
第2章 ホロコーストと社会学的想像力
第3章 全体主義と道徳哲学
第4章 廃墟からの公共性
第5章 排除の政治とその始源のアポリア
補論 真理をめぐるコミュニケーション
終章 不正を理解すること
著者等紹介
橋本摂子[ハシモトセツコ]
1997年東京工業大学工学部卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaeruko
2
感想が思い浮かばなかった。以下は人の感想。 著者は2011年4月に福島大学に着任し、双葉郡の被災者避難者全数調査に関わったそう。筆者が聞いた被災者の言葉は肉をえぐる鉄のような重みがあり、その経験をもとにこの章は書かれている 福島原発事故後の被災者・避難者は、限られた情報のもと、低線量被曝のリスクと各自の判断において分断が生まれていた。彼らはそれを良いと思っていないが、解決の術はなく苦悩する。この本そのものはアーレントの判断論について論じたものだけど、明らかに終章だけが独立しかつ傑作になっている
柘植 公人
1
p462025/05/31
Go Extreme
1
政治思想:純粋政治批判 公共性の再構築 複数性の重要性 言論の自由 政治的判断力 公共空間の確保 全体主義への抵抗 倫理と道徳:悪の凡庸さ 道徳的判断の基準 社会的責任 実践知の役割 自立的思考 事実の不可侵性 道徳哲学の限界 判断力の形成 社会構造:全体主義の反復可能性 社会的不正の理解 政治と真理の関係 福島原発事故の分析 事実と虚構の境界 社会的排除の構造 権力と規範の関係 ホロコースト研究:ナチズムのメカニズム アイヒマン裁判の意義 社会学的分析 ユダヤ人迫害の構造 大量殺戮の正当化 記憶と正義2025/03/12
massda
0
図書館の本なので、最終章、福島のところだけ読んで返却した。どうすればいいんだろう? それぞれ皆良かれと思って原発をつくり、原発のお陰で家族でしばらく平和に暮らせていたというところもあるはず。でも廃燃料と事故った時のコストがかかりすぎると私は思う。原発okな人の頭の中ってコスト計算どうなってるのか知りたい。 2025/03/09
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