出版社内容情報
システムが環境との相互作用を営みつつ,みずからの手でみずからの構造をつくり変える性質を自己組織性と呼ぶ.自己組織性論の誕生とその展開をあとづけるとともに,システムの論理に創造的な「個」の営みを組み込む新しい社会の構想を縦横に論じる.
目次
自己組織性論の射程
1 自己組織性論の源流―制御と社会発展(社会変動から自己組織性へ;自己組織性の原理と社会発展論)
2 自己組織性論の彫琢―変態する個とシステム(意味作用と自省システム;自己組織性とポストモダン)
3 自己組織性論の展開―社会の脱構築(ネットワーク論を超えて;支援型の社会システムへ)
著者等紹介
今田高俊[イマダタカトシ]
1948年神戸市に生まれる。1972年東京大学文学部卒業。1988年東京工業大学工学部教授。東京工業大学大学院社会理工学研究科教授
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感想・レビュー
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たばかる
12
今田は論理的な<自己言及>ではなく、社会科学的<自省作用>としての自己組織性に注目する。<自省作用>とはみずからの行為や作用を自己に回帰させることである。社会の営み(例えば知識)は、その営みに関する営み(知識活動)によって、営みの性質を変えていく。つまりは、個人や国が自身の置かれている状況についての情報や知識を獲得する行為が、社会に再参入して状況を再構築すること、および再度その状況についての情報や知識を獲得する行為がなされて、社会に再々参入していく循環過程をあらわす。2022/12/22