内容説明
これまでの日本技術史研究は、ひたすら西欧に日本を重ね、日本の例外性と歪みと弱さを語ってきた。その視点は逆転されねばならない。日本を発展途上国に重ね、遅れて工業化する国に固有の矛盾と困難は、明治・大正・昭和の工業にどのようにあらわれたか、日本はそれをどうのりこえ、またどうのりこえられなかったかを語ることを世界は求めている。本書は、この様な角度から、工部省製鉄所や2000錘紡績の失敗に、繊維機械技術の形成過程に、政府の技術政策の変遷に、新しい光をあてる。
目次
第1章 技術史の観点から見た日本の経験(製鉄業の経験から;紡績業の経験から)
第2章 繊維機械技術の発展過程―織機・紡績機械・製糸機の導入・普及・改良・創造
第3章 技術政策の歴史