出版社内容情報
銀行の貸出行動を規定する要因を,現実の銀行行動に即して解明することを目指す.1990年代の経験を基本とし,銀行貸出と不良債権との関係,貸出行動の特徴および影響,銀行の営業地盤や経営組織と貸出行動との関係等を実証的な検証を中心に分析する.
内容説明
本書は、1990年代のわが国銀行部門に焦点を当て、特に貸出行動を具体的に分析することを目指したものである。わが国は、バブル崩壊の影響を受けて不況状態が続き、21世紀初頭に至るも回復の足取りは重い。特に銀行が不良債権に呻吟し、その処理が依然として捗々しくないことの影響が大きいとみられ、実体経済活動の大きな足枷となっている。こうした状態を解明するには、バブル期以降に於ける銀行の行動自体の問題のほか、環境の変化や金融当局の行動等を併せ、定量的に分析する必要がある。銀行の将来像を考える場合には、コンビニバンクやe‐bank等がもたらす変化と同時に、銀行が営業店の展開を基礎として活動する従来の方式がどのような意義を持ち続けるのかといった点が問われるところである。本書は、銀行行動を現実の動きに即して分析していくことを試みている。
目次
第1部 金融破綻と対応(平成の金融破綻;金融危機とセーフティ・ネット ほか)
第2部 貸出行動と不良債権(1990年代の不良債権問題;不良債権発生の背景)
第3部 「貸し渋り」の経済分析(不良債権と貸出態度;「貸し渋り」の分析)
第4部 貸出地盤の分析(貸出と経営基盤;貸出地盤と店舗網)
著者等紹介
堀江康煕[ホリエヤスヒロ]
1946年福井県に生まれる。1969年東京大学経済学部卒業。日本銀行入行。1988年筑波大学社会工学系助教授。1990年日本銀行考査役。1997年九州大学経済学部教授。現在、九州大学大学院経済学研究院教授
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