出版社内容情報
1929年アメリカの株価大暴落をひき起し,30年代に全世界に波及した大不況のメカニズムを詳細に分析する.著者はその発端を20年代の第一次大戦の戦後処理の時期に求め,国際通貨機構の不安定性が広範で長期にわたる不況をもたらしたとする独創的見解を提唱.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
3
いわゆる覇権安定論に持ち出される古典で、国際経済秩序を安定させるには強力な指導国が必要という結論が一部の国際関係論者を喜ばせた。不況の深刻化は経済的要因でなく、国際的政治構造にあったというわけだ。強者が弱者を従わせるという側面もあるが、個別的利益だけではなく全体的利益を考慮する余裕がある国がないと、国際なんたらシステムなんてものも存在しえない。民主制が必ずしも弱者に都合のよいものではないのは、会社でも国際政治も同じらしい。ただ、この覇権には、明らかに知恵が伴っていないとならんのは忘れてはならないと思う。2018/08/31
ワッキー提督
1
経済学の専門的な部分は解らなかったが、同時代の国際政治の重要な側面を理解できた。イギリスの能力欠如とアメリカの意志の欠如という本書の指摘は、同時代の他の分野にも当てはめられるし、今後の国際情勢への含意も大きい。 この分野において小国が一定の役割を果たすというのも新しい知見であった。大学図書館にて。2016/11/30