出版社内容情報
1987年にパレスチナで起こったイスラエルに対しての民衆蜂起(インティファーダ)はなぜ起こったのか? パレスチナ人の抵抗の歴史と蜂起の背後にあった構造的な変化を,さまざまな史料を渉猟しスリリングに描き出す.パレスチナ問題に新たな視角を提供する画期的な論考.【第9回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
内容説明
人々の抵抗はなぜはじまったのか。抵抗の淵源を探る。
目次
1 占領下の人々(占領と人々―イスラエルとヨルダンのはざまで;「自治」に反対、独立国家に賛成―自治構想への抵抗;鉄拳政策との対話―「指導者を隠す」抗議行動)
2 PLOと西岸・ガザ地区(PLOと西岸・ガザ地区―政治外交の発展と「独立国家」の模索;インティファーダ―蜂起の政治空間とPLO;和平交渉と西岸・ガザ地区―インティファーダの終焉)
蜂起とパレスチナ
著者等紹介
鈴木啓之[スズキヒロユキ]
1987年神奈川県生まれ。2010年東京外国語大学外国語学部南・西アジア課程アラビア語専攻卒業。2015年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本学術振興会特別研究員PD(日本女子大学)、日本学術振興会海外特別研究員(ヘブライ大学ハリー・S・トルーマン平和研究所)を経て現在、東京大学大学院総合文化研究科スルタン・カブース・グローバル中東研究寄付講座特任准教授、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
20
イスラエルによる占領へのパレスチナ人の抵抗運動としてのインティファーダの発生と展開、その帰結を、主にPLOの外交戦略との関連で分析。1987年から5年以上にわたって継続したインティファーダは、一般的な暴動や騒乱とは異なり地域社会にある種の秩序が確立されていた。その秩序立てられた政治空間がどのように作り出されたのかを、各団体が発する政治声明(リーフレット)などから解明を試みている。◇パレスチナの「全土解放」を訴えるハマースと、外交を通した独立国家建設へと方針転換したPLO。オスロ合意の署名で分裂が決定的。2020/10/21
にしがき
12
👍👍👍👍 イスラエル占領下でのパレスチナ人による(第一次)インティファーダの発生までの経緯と発生後の帰結を、大量の一次資料やインタビューも用いて論じている。視点はパレスチナ。PLOやハマース、ヨルダンやレバノンといった周辺国、湾岸戦争 が占領下のパレスチナ(特にヨルダン川西岸地区/ガザ地区)にどう影響したか。 著者は最後に、現在はパレスチナ社会の分断が進展していると指摘し、それを乗り越えようとする動きも紹介している。今後のニュースを注視していきたい。2021/01/04