内容説明
死刑・拷問の廃止をはじめて明確に提唱し、ドストエフスキー『罪と罰』構想の源泉となった近代刑法革命の金字塔『犯罪と刑罰』。ベッカリーア自身が手掛けた決定版にもとづくはじめての邦訳刊行により、従来の内容を刷新し人間論・社会論の古典として蘇る。
目次
刑罰の起源
刑罰権
いくつかの帰結
法律の解釈
分かりにくい法律
犯罪と刑罰のあいだのバランス
刑罰の尺度についての誤り
犯罪の分類
名誉について
決闘について〔ほか〕
著者等紹介
ベッカリーア,チェーザレ[ベッカリーア,チェーザレ][Beccaria,Cesare]
1738年生まれ。ミラノ青年貴族のサークル「拳の会」のメンバーとして活動。帝室学校官房学教授を経て、ミラノ公国の高官となる。1794年没
小谷眞男[コタニマサオ]
1963年生まれ。お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろただでござる
1
何を犯罪とし、犯罪を犯したものに刑罰を与えるとはどういうことで何を期待してどれくらいの刑罰を与えるのが妥当なのか…を、ちょっと理想的少し観念的に表してる。ハイドンやモーツアルトが生きていた同時代にこれが出版されていたという先見的な考え方は素直に凄いと思う。(ハイドンさん、モーツアルトさんごめんね)2022/08/19
jntdsn13
1
複数の角度から読める刑事法学の古典。第一には思想史の古典、すなわちモンテスキューなどに強い影響を受けた啓蒙思想の刑事法学への反映の試みとして。第二に、在りし日の西洋刑事法学の古典として。強い罪刑法定主義、感情を基礎にした功利主義的刑事法の構想や刑法と刑事訴訟法が未分化な点、名誉刑などの発想が印象的だった。第三には、死刑廃止論の古典として。その歴意的意味はもちろん、他の章に比して段違いに割かれている分量からしても、今回の読書でこの側面が一番印象に残ったかもしれない。2021/09/14
フクロウ
1
あまりにも近代的な刑法・刑事訴訟法制度構想。死刑廃止や判決前身柄拘束の禁止など、現代の日本でも実現できていないものが多い。巻末のこれまでの翻訳や、底本の二大系統たる第五版系統/モルレ版系統の話は必読。2019/12/09
ptyx
1
★★★☆2012/01/04
ヌクンダ将軍@鬼畜の所業
0
近代刑法の古典として名高いが、啓蒙の思想史を読み解く上でも重要なテクスト。人間の情念に関する鋭い考察を下敷きに、社会や法律とは何かを問いなおしている。2014/01/10