出版社内容情報
“主権”と“人権”の根源を問い、両者の間の密接な相互連関と緊張を繙いた本書刊行から30年の時をかけて――2022年にフランスで刊行された論文集の序文一部を日本語に書き下ろしたものを新たに加え、現在の著者の想いをあとがきにしるし、近代立憲主義を再定位する増補新装版としてお贈りする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
261bei
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90年代の著者の論文集が再刊。国家による個人の創出というこの頃著者の取り組んだテーマについて、特に「ルソー=ジャコバン型モデル」国家論に対する様々な立場からの批判に対する応答が行われている第2章が面白い。一般的な語彙を用いれば、共和主義か多元主義かという国家論の選択が扱われていて、著者は前者を強調している(他方、多元主義国家論にあたるのが高見勝利)わけだが、他方、著者が心底前者に乗っているのかという疑問もある。著者は中間団体の存在を所与とした上で、中間団体排除の痛みの「追体験」が必要と言う。体験ではない。2025/07/05