内容説明
徳川末期にオランダへ渡った西周と津田真道をはじめ、福澤諭吉や小野梓など知識人の国家構想を読み解き、近現代日本の憲法学や国際法、統計学の起源に迫る。大幅増補のうえ、待望の復刊。
目次
序章 近代日本思想の黎明とオランダ
第1章 フィッセリング国法学講義と大政奉還―西周の体制構想を中心に
第2章 統計学の興隆と政治社会認識の変容―『表記提綱』と経済学講義
第3章 「万国公法」受容と文明化構想―ヨーロッパ国際法を巡る周縁からの眼差し
第4章 ローマ法学と功利主義―小野梓の政治思想(1)
第5章 憲法と民権を巡る歴史的淵源からの問い―小野梓の政治思想(2)
補論1 近代日本における権利概念の相剋
補論2 真道の根本律法、周の兵学―オランダ関係草稿を手がかりに
著者等紹介
大久保健晴[オオクボタケハル]
1973年東京生まれ。2019年より、慶應義塾大学法学部教授(博士(政治学))(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ahmad Todoroki
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日本における法学史への関心から本書を手に取りました。概ね期待は満たされたと思う。日本が明治維新を経て立憲君主制近代国家として曲りなりにも成立し得た背景と理由が僅かながらも理解出来た。かなり分厚い学術書ですが、「権利」という用語がどのように生まれ定着したかの記述など一部を読むだけでもかなり有用です。なお、当時のオランダは現在のインドネシア他、国外に植民地を持つ宗主国でもあり、その支配の為に現地慣習法を徹底的に研究し利用していました。インドネシアの西周や津田真道は誰なのか調べることが私にとっての宿題です。2023/06/06