内容説明
1960年を、「明治維新」にはじまる日本の工業化の成熟期と位置づけ、「弥生」以来の農業社会から工業社会への離脱期とすら位置づける。しかし同時に、この過程で、日本の高度成長のメカニズムの破綻も国民の誰の目にもあきらかとなった。公害による自然と人間との生態学的均衡の崩壊、あるいは消費文化の肥大にもかかわらず進行した都市問題・農業問題、さらに物価問題の激化にみられる国民生活の矛盾がこれである。しかも高度成長のメカニズムが明治以来の国家の論理・資本の論理の延長であるかぎり、これを再構成して、そこからあらためて―明治100年にしてはじめて市民の論理・生活の論理を問うことを国民的課題とすることになった。本書は、このような課題をもつ市民の論理・生活の論理を著者なりに構成したものである。
目次
1960年代の問題性(高度成長期の思想状況;ニュー・ライトとオールド・ライト;工業社会と革命の論理 ほか)
都市と都市科学(都市科学の可能性と方法;都市創造の構想;余暇と都市空間 ほか)
社会分権と政策形成(直接民主主義の論理と社会分権;現代政治における政策・計画)
テクノクラシーとデモクラシー(イギリス1964;アメリカ1968)
著者等紹介
松下圭一[マツシタケイイチ]
1929年福井県に生まれる。1952年東京大学法学部卒業。現在法政大学名誉教授
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