出版社内容情報
“東京の近代”を,明治国家の“首都”としての政治的特質と,産業革命を契機に深刻化した“都市問題”と“都市政策”,の二側面から描く.そこでは,特に下層民衆の集中したスラム,その住宅問題,伝染病の流行と上水道,工業化と公害の発生等が注目される.
目次
序章 1000万都市東京の発足―1920年代初めまで
第1章 首都東京、その「脱亜入欧」の道―19世紀後半の横浜も含めて
第2章 世紀末東京の都市空間(市区改正か、上水道の改良か―「我カ東京ノ地タル…皮相ノ壮観ノミ」;社会病理としての伝染病史―「悪疫大流行期」の都市スラム)
第3章 資本主義・都市問題・民衆生活(結核と公害のなかの東京―産業革命期の都市環境衛生;20世紀初め、路地裏への視線―下層社会に「細民」住居論;明治東京の盛り場・道路をめぐる規制―追われる大道芸人たち)
第4章 首都東京と京浜工業地帯(京浜工業地帯へ向かって―「工業に栄ゆる川崎町」;第一次世界大戦期の京浜工業地帯―工業化とその裏側;資本主義の形成と農村・都市;近代日本における都市人口の推移)
終章 (日本近代都市史研究の課題と方法―東京研究への手さぐり)
付論(東京・横浜二港物語―製糸立国をめぐる“攻防”;書評―藤森照信『明治の東京計画』について)