出版社内容情報
東アジアの視座から,諸国家の対外政策,国家・民族間の関係,それを支える秩序観念を比較検討し,「鎖国」体制という通念を批判.「海禁」・「華夷意識」という東アジア世界の共通性に注目し,幕藩制国家,その対外政策を問い直す. 東京海上各務記念財団優秀著書受賞
内容説明
近世は、日本人の海外知識が、それ以前と比べて、はるかに豊富で具体的になった時代であり、それは、日本人の直接・間接の国際経験の範囲が拡大したことの証左でもある。近世日本を「鎖国」としてではなく、出入国管理のための政策である「海禁」と、国家の主体性の表現でもある「華夷秩序」とのセットでとらえるべきであるという本書の提言は、近世日本人のこのような存在形態を踏まえて、はじめて現実味を帯びたものとなる。
目次
序 「鎖国」論から「海禁・華夷秩序」論へ
第1部 近世日本の対外関係と東アジア(日本の「鎖国」と対外意識;近世の東アジアと日本;近世中期の長崎貿易体制と抜荷;近世日本の漂流民送還体制と東アジア)
第2部 近世日朝関係史研究序説(大君外交体制の確立;明治維新期の日朝外交体制「一元化」問題)