出版社内容情報
維新以来,藩閥政府の「富国強兵」政策は1889年の憲法発布と90年の議会開設を契機に大きく転換を迫られた.だが事態の進行は依然「富国強兵」政策だった.帝国憲法下の議会の存在は無力なものだったのか,否か.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
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思うに、この本の読み方は二通り。まず、日本史専攻の学生にとっては、教科書を読んでも「近代史」はピンと来ない(自分がそうだった)。よって「『明治憲法体制』の確立」という観点から日本史上初の試みである議会政治の産みの苦しみを解説してくれる本書は、全ての日本史学習者のバイブルだという点。もう一つは、歴史は常に現代史だという視点。この本が出版されたのは安保闘争の直後。筆者は、政党という権力主体が、多くの利害を吸収しつつ、権力そのものを目的因に屹立していく、なんとも言えない不気味さ(=キメラ的性格)を見事に描いた。2020/01/03