出版社内容情報
ヘーゲルの哲学は,絶対の「有」,絶対の「存在」を説くものと見られ,多くの論難に曝され続けてきた.絶対の存在を説くヘーゲルは,実はその根本において絶対的な「無」を説こうとしたのではないか.本書は,『差異論文』から『論理学』までの著作を丹念に辿りながら,絶対存在をとらえる体系哲学という外見でなく,本来の内にある哲学的な意味を探る.従来のヘーゲル像を根本的に覆す力作.
目次
序章 一八〇一年―ドイツ近代哲学の画期
第1章 『差異論文』―ヘーゲル哲学の基底
第2章 『信仰と知』―カント批判と「絶対無」
第3章 イェーナ期実在哲学―精神的境地としての「死」
第4章 『イェーナ形而上学』―「絶対者」の「肯定的」把握の内実
第5章 『精神現象学』―ヘーゲル体系哲学の内実
第6章 『論理学』―カテゴリー論における無
終章 ヘーベルにおける無の思想
著者等紹介
高山守[タカヤママモル]
1948年東京に生まれる。1973年東京大学文学部卒業。1975年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1977年同博士課程中退。2001年京都大学博士(文学)取得。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授
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