出版社内容情報
多様で変幻自在なイスラム世界をどのように理解するか.イスラムの政治・法・経済・イデオロギーの基本概念を歴史的にとらえなおし,「超越者としてのアッラー」をキーワードに一見不可解な言説を生みだすそのトリックを見破る.ヨーロッパ中心史観を超え,さらにイスラム世界での複合的で多元的な地域性を意識することによって,独自のイスラム世界観を提起する.
内容説明
ヨーロッパ中心史観を超えて―変幻自在なイスラム世界、複合社会の内側から言説の罠を見破る。
目次
イスラム世界の理解をめざして
第1部 イスラムとポストモダン(トリックスターとしてのアッラー;イスラム復興とオリエンタリズム)
第2部 イスラム世界における法と経済(所有システムにみるイスラム世界の法と経済;「市場社会」としてのイスラム世界)
第3部 「複合社会」としてのイスラム世界(アレクサンドリアの憂愁;「世界の母」カイロ)
イスラム世界論の功罪
著者等紹介
加藤博[カトウヒロシ]
1948年高松市に生まれる。1980年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。東京大学東洋文化研究所助手、東洋大学文学部助教授を経て現在、一橋大学大学院経済学研究科教授(経済学博士)
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感想・レビュー
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ドウ
1
われわれ日本の視点からだと理解しがたい「イスラム世界」について。日本人によるイスラム世界研究がなぜ二分法的(でしかもしばしば相対立するものを並立させた)結論に行き着くのかや、ヨーロッパ中心主義から離れてイスラム世界の論理で法・経済を解釈・研究することの重要性を論じている。かなり分かりにくいが、第2部が特に面白い。「結 イスラム世界論の功罪」と「解題(小杉泰と池内恵との論争についてもコメントあり)」が、「イスラーム世界」という単語への私の違和感を言語化していてよかった。2016/05/21
halfpint
1
イスラム世界、中東、あるいはアラブ世界、のわかりにくさと語りにくさについて。2013/11/25