出版社内容情報
プリミティブでありながら今日的,土着的でありながら普遍的な性格を有している“憑霊”を,著者自身の個別具体的な調査と宗教人類学的方法によって考察.現代に生きる身近かな「憑霊・シャーマン考」として編まれた現代人のための特異なエッセイ集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とまる
1
奄美のユタの豊富な事例やパキスタン・ギルギットのダヤール、台湾(道教)のタンギーに始まり シャーマンの社会構造的な役割に至る。M.ウェーバーによる、祭司と預言者の相補関係と対照性も取り上げられている。始め、二者は殆ど同一だったはず。しかし、宗教が政治との関係の中で 重視されなくなればなるほど形のみの前者が残り 後者(預言者・シャーマン・人神型信仰)は軽んじられる。それは、単に宗教が形骸化するという以上に 人が 人以外のモノとの会話機会を どんどん持たなくなるということでもある気がする。2012/11/19
やっこ
0
奄美のユタ、パキスタン・ギルギットのダヤール、台湾(道教)のタンキーなど、豊富な事例を通じてシャーマンの社会構造的な役割を明らかに 特に日本における「カミダーリィ」(憑霊)現象について詳細な分析を行い、「人々が限界状況のただ中に置かれ、しかも対処すべき何らの手段ももたないとき、彼らは徐々にカミダーリィの兆候を示すようになる」という洞察を提示 宗教が政治との関係の中で重視されなくなればなるほど形式的な祭司が残り、預言者・シャーマン・人神型信仰は軽んじられる2025/06/24