出版社内容情報
科学コミュニケーション論の理論的枠組みをまとめた初の教科書。歴史と事例とともに明快に解説する。
内容説明
科学リテラシーの意味を問い、「欠如モデル」を越える枠組みとは?東大での講義をもとに、その理論的枠組みをまとめた初のテキスト。
目次
1 歴史と背景(英国における科学コミュニケーションの歴史;米国および欧州の傾向;日本における科学コミュニケーションの歴史)
2 理論(科学コミュニケーション;PUS論;受け取ることのモデル;伝えることのモデル)
3 実践と実態調査(出張授業にみる科学コミュニケーション;伝える側の評価:科学技術ジャーナリズムを題材として;受け取る側の評価)
4 隣接領域との関係(科学教育;市民参加と科学コミュニケーション;科学者の社会的責任と科学コミュニケーション)
著者等紹介
藤垣裕子[フジガキユウコ]
東京大学大学院総合文化研究科准教授、科学技術インタープリター養成プログラム構成員
廣野喜幸[ヒロノヨシユキ]
東京大学大学院総合文化研究科准教授、科学技術インタープリター養成プログラム構成員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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井の中の蛙
7
本当は新装版の方が読みたかったのだが、ひとまず手に取ることができた旧版を読んだ。先日読んだ国立科学博物館のサイエンスコミュニケーションに関する本と比較すると、本書の後書きでも指摘されていた通り確かに理論面に比重が置かれていた印象がある。理論・歴史・他国との比較・公共機関への着目が多かったことなど。科学教育と科学コミュニケーションとの共通点・相違点が論じられていたのが面白かった。2024/12/03
ゆうみい
3
慌てて読み直し▼慌てて読んだとは言え、勉強始めたばかりのときは「?」となる部分も多かったのに、言ってることの意味やそれがどう実践に還元されているのかを感じられるようになっていた。なんだかんだで1.5年の勉強の成果▼でももっと読み込んで再読せねば…!2018/02/21
深井零
1
異文化コミュニケーションに通ずるものがある 興味のないことには知識が吸収されない文脈モデル 素朴自然科学への文脈の理解が必要 近代自然科学の排他性に対する自意識も2025/02/08
Ryosuke Tanaka
0
「コミュニケーションはそもそもいかにして可能か」「市民による科学にまつわる問題のガバナンス」「技術者育成」といった著者間でのフォーカスの違いが、"一般市民"あるいは"科学者"のなんたるかという前提の違いとして透けて見えるのが興味深い。個人的には、教育という制度の不可避にパターナリスティックな側面と、欠如モデル批判のコンフリクトがどう接続しうるのか(というか著者の頭のなかで和解させられているのか)が気になる(会って聞きゃいいんだが)。2017/01/30
Schuhschnabel
0
東大大学院プログラムの教科書として書かれた本。いろいろなことが網羅的にまとめられていて、さらに註もしっかりしていて良い。ただ、ハウツー本ではなくあくまで理論書なので、この本を読んだからといって必ずしもよい科学コミュニケーションを実践できるようになるわけではない。まだまだ理論化への課題が山積であり、各人がこれまで考えられてきた事項を知り、そのうえで理論を提案、実践していかなければならないだろう。2016/10/10