出版社内容情報
堀辰雄・立原道造・野村道夫など、追分を舞台に数々の名作を生んだ作家達の濃密な交流の跡を、現地での丹念な取材で追う昭和文壇史。〈解説〉大河内昭爾 273ページ
感想・レビュー
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筑紫の國造
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『田端文士村』などと同じく、「特定の場所(土地)」の中で繰り広げられる人間模様を描いた作品。東京の田端がどちらかというと現実的な生活と強く結びついた場所であったのに比べ、追分は現実から離れた、夢を見る場所、と言った趣が強いように感じる。かつて宿場として栄えながら、明治に入ってから寂れてきた追分は、けっしてそのまま廃れるのではなく、土地の人々の努力によって繊細な詩人達が夢を紡ぐ場所となる。一度訪ねたことがある追分だが、ふたたび本書を片手に堀辰雄や立原道造の後を辿ってみたくなる。爽やかな読後感。2015/09/10