内容説明
先の大戦の英雄を讃え、後継者を養成する目的で作られたサーディン聖央学院―その英雄を父に、「勇者」の名をほしいままにする優等生を妹に持つジンは、落ちこぼれ。早々に才能に見切りを付け、英雄候補生らしくなく振舞う彼に周囲の目は冷たいが、妖精エリスやマイナー学科の変人学生たちとそれなりに学生生活を謳歌していた。そんなある日、研修先の遺跡で少女を拾った事で、生活は一変。「私はあなたのモノです」といい、虚人と名乗るその人形めいた謎の少女の正体は?そしてジンの運命は!?新シリーズ開幕。
著者等紹介
あやめゆう[アヤメユウ]
北海道出身。『RINGADAWN 妖精と灰色狼』で第7回C・NOVELS大賞特別賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめありす@灯れ松明の火
38
狡智極まる妖精姫、性格の悪い笛吹き男。必要な事の為にはあらゆる手段を選べる虚戦士。お伽噺のようなファンタジーにちょっと癖のある主人公を持ってくるあやめさん。でもそこに一貫した信念の強さがあって『死んでもいや』な物をちゃんと持っているから、あまり嫌いにはなれません。今回もちょっと変な、何せ笑う表情がニタリ、である『英雄の息子』が主人公です。しかし、ハーレムの女の子の半分以上を敵に回す。しかも『女子の敵よ!!』なノリではなく『全力でぶっ潰す!!』本気モードに入られる主人公って滅多にいないよなあ、と思いました。2013/02/16
秋製
29
「英雄」の後継者を育成する事を目的としたサーディン聖央学院。この学院には「英雄」の息子と、「勇者」と呼ばれるその妹、他にも一般の生徒以外に「特待生」と呼ばれ者がいる。「英雄」の息子、ジンは、出来のよい妹に疎まれる凡才な生徒であった。「特待生」のアニスの実地訓練の道案内役を頼まれたジンは、目的地の遺跡で変わった少女と出会うことになった。その出会いは、ジンの運命を大きく変えるほどの力を彼に与え、彼は今まで生きてきた中で抑えていたものを一気に開放させるほどのものであった。2013/08/26
ちゃか
18
「答えろよ! 正義の言葉で俺を屈服させろ!」。これが主人公のセリフだっていうんだから、面白いですよね。この人の描く主人公たちは誰も彼もあくが強いけど必死で、だからこそ好ましいですねー。英雄は正しいからこそ間違っていて、主人公は間違っているけれど正しい。そんな矛盾したようなイメージですが。英雄の息子、しかし無能な主人公は飄々と生きてきたが、ある日、遺跡である発見をしてしまって、というお話。面白かった。2012/10/24
U
12
ジンが本当に諦めて吹っ切った繋がれているあの場面にぞくっときた。ジン恰好良い。躊躇なく選択できる者。面白かったー。やっぱりキャラの関係性というか、我の通し方というか、特に友情の描き方が好きだなあ。よくよく冷静に思い返すとストーリーはけっこう王道なのだけど、その道の行き方が捻くれている。英雄さんはああまでやっといて何を今更感が(笑)。妖精との情も良かったけれどウィルがもうほんと好きでした。なんだこのひと。すごい。妹はそうだと思った。でも言葉が足りな過ぎるね!仕方ないけどね!笑2014/07/17
シュエパイ
12
皆が期待し望み、それに答え続ける凄く優秀な勇者の妹に、出来損ないの落ちこぼれとして蔑まれることを望まれた兄。「みんなのために」の皆の中に、彼だけが居ないのだと気が付いていて、もう我慢することはやめたのだと、すっと諦めて捨てていく言葉が、とっても酷くて悲しいのです。妹さんの最後の涙は、もっともっと早くに、素直に心を……打ち明けられなかったんだよねぇ。どんな風に、世界を巡っていくのかな、続きが楽しみ。2012/12/08