内容説明
敵国ヴァルデマールで使者となったアルベリッヒ。故国カースを思う気持ちは変わらないが、ヴァルデマールに対しても忠誠心が芽生え戸惑う。国境地帯で続く両国の紛争は、傭兵国家テドレルを巻き込んだことで、長年の均衡状態が崩れた。劣勢となるヴァルデマール。最終決戦を目前に国王、王女が戦場に向かう。ついにアルベリッヒ自身も王女付きの護衛として戦場に赴く日がきた。
著者等紹介
ラッキー,マーセデス[ラッキー,マーセデス][Lackey,Mercedes R.]
1950年生まれ。米国のファンタジー作家
澤田澄江[サワダスミエ]
1970年生まれ。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アイゼナハ@灯れ松明の火
19
息詰まる戦闘、尊き犠牲…そしてセレネイの戴冠へ。全体への奉仕者であるヴァルデマールの君主というのは本当に大変だなぁ。でも、だからこそアルベリッヒのように有意な人材が周囲に集まるということなのでしょうけど…懐かしの(!?)オーサレン卿みたいなのもいるからなぁ。『忘れてはならない。人の故郷とは、家族のいるところであるとも記されている』『友人とは、自ら選べる家族だ…』お茶目なカンディスくんとラストの1行には思わずほっこりさせられました。続巻があるみたいですね。記憶が薄れる前に読みたいので早期刊行希望!!2012/05/05
詩歌
11
シリーズを通して、食事や入浴シーンにほっとリフレッシュ出来るのが大好き。アルベリッヒのセレネイ指導力、実質〈女王補佐〉じゃないか。成長を目撃する瞬間はどんな時も輝かしい。「誰かがものすごく親切にしてくれて」身綺麗になってたり、カンターとの会話のまごまごしたアルベリッヒは本当に新鮮だ。2014/06/03
ときわ
7
上下巻まとめて。先日気持ちいい読書がしたいなあと思って「盗人の報復」の何度目かの再読をした。そのままアルベリッヒの物語もまた何度目かの再読。で、愕然とした。これって今のウクライナとロシアの戦いと同じようなところがたくさんありすぎ。過去に読んだ時はそんなことは感じなかったし、辛いので読むのをやめようかと思ったぐらいだった。カースはロシアで、ヴァルデマールはウクライナ。テドレルはシリア傭兵。20年前に書かれたこの物語は、過去から現在まで何度も繰り返された愚かな戦いをなぞっていたのかも。2022/03/30
はる
5
図書館本。自国から追い出されて(というより処理されかけた)敵国のけっこうな重要人物になってしまった主人公アルベリッヒ!そんなことあり得ない!というほど悩んで働いて能力を発揮中。なのに読み手が気になるのは、兵站部分。何千人、何万人分のご飯の配給と装備と、そしてトイレはどうするんだ?(戦死者の片付けとか)まぁ、いちばん先に倒れそうだから気にしなくても良いのだけれど…。とりあえず子どもたちには未来が要る!2015/04/19
ときわ
4
続けて再読。印象的なのが、護衛と護衛される人物とはきちんと事前に訓練が必要ということ。それって今の政治家や要人とSP もそうなのだろうか。確かに護衛される側がどう動けば良いのか分からずぼーっとしてたり、慌てて危ない方に逃げたりしたら護衛する訓練を受けている人でも困るだろう。世継ぎが生き残り女王になれたのはこの訓練のおかげ、つまりアルベリッヒの存在があったからだ。共に歩むものは選ぶ相手を間違えない。この上下巻を読みながら懐かしい気持ちになった。タリアの時には亡くなっていたり年老いている人が活躍していたから。2019/09/25