内容説明
会社を馘になり、恋人に裏切られ、家族に見捨てられ、最後は下水に流された普通のOL未緒。目を開けると言葉も通じない謎の集団に囲まれていた。そのまま奴隷市で金持ちに売られ、虐待まがいの扱いと理不尽を耐えしのぶが、ある日ストレスが爆発!主人に逆らい、半死半生で放逐された。紆余曲折のすえ未緒は、顔だけは美しいが、皮肉屋で偉そうな冷血な青年に巡り会う。それは次なる試練の始まり?それとも…。
著者等紹介
夏目翠[ナツメスイ]
第4回C・NOVELS大賞を受賞し、『翡翠の封印』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひめありす@灯れ松明の火
32
二十代前半、今まで家族に尽くしてきた。自分の意思で何かをすることは封じられて、それでも健気に一生懸命、小さな足で歩いてきた。それがある時突き放されて、職を失い、役目を追放され、ついでに帰る場所まで奪われた。年齢よりもずっと幼い外見にお似合いの、なにも選べない幼いままの心。それでも、彼女は前を見て少しずつでも進み続ける。水面に咲く美しい花はその根を深い泥の中へもぐりこませてしっかりと根を張っている。その強かさを背中に咲かせた娘。美緒は水脈。水の娘。とどまることなくたゆたい外へ、外へと。2012/03/18
ダージリン
21
異世界に行くヒロインには苦難がつきものですが、これは踏んだり蹴ったりレベルですね(笑)。でも、ストーリーはさくさくっと進むので大丈夫です。やや、ツンデレな美青年エアリスや、その他登場しているので次も楽しみにしています♪2011/11/25
shizuca
17
導入部の未緒へ与えられた出来事があまりにあまりすぎて読むのをためらったのですが(その嫌悪感は本の4分の1は占めてました)、よみ進めるうちに作者さんのこれはハーレムモノ! の意味がわかりひきこまれました(あとがきから読む邪道です。安心したいんです色々と)。エアリスが俺様と見せかけてつつくと可愛いです、彼はいつ未緒を意識し始めたのかとても気になります。話はどんどん不穏な展開になりますが……。異世界にきて最初に思うのは「言葉」で、だから未緒の置かれた状況は正しくて、だからこそ未緒が救われたときに安心するのかと。2015/04/25
銀華
17
読メでの感想に惹かれ。その通り、主人公が不遇過ぎる。異世界飛ばされてからの出来事はともかく、家族の方は「ちょっと、ね…」と思うぐらい娘、姉の気持ちを考えていなかったのかな。何も言わないから、そう決め付けていたのは都合が良過ぎるのでは(ネッサとかちゃんと聞こうとしてた)。グローズの言い分は分かりますが、それにしては何か扱いが酷い。それでも、『奴隷』などと云った言葉の本当の意味を知り、反省する辺り、主人公は懐が広いです。自分の考えを持つ主人公が好ましいです。最後でまた一変した生活に戸惑う主人公に幸あれ。2012/05/27
U
11
おおう、予想以上に面白かったです。こちらの皆さんの感想で、主人公の境遇容赦ない、と窺っていたのでおっかなびっくり読みましたが、確かにすごい。酷い(笑)。結構萌え要素揃っているというのに色々可哀想過ぎて! 家族も気になる。弟くんは善い人そう……お父さんはどうなのかな、ちょっと不器用過ぎ、かな。殿下は後半すごく恰好良くなってて、おお!となりました。ネッサがいつ裏切るかとひやひやしておりましたが、最後まで良いひとでほっとしました、というか疑ってすみません。次巻も楽しみです〜。2012/01/22