内容説明
夜間の空母本格運用という米軍の奇策に不意を衝かれ、マリアナの日本軍基地兵力は相当の被害を受けた。難を逃れた陸軍四式重爆撃機「飛龍」が禰式翔竜を装備して反撃に飛び立つと、数百機の米軍攻撃隊と行き違う。敵は大規模な空母機動部隊を進出させつつあった。これを撃退すべく第一機動艦隊が出撃、爆装した零戦と艦上攻撃機「天山」が発進する。エセックス級正規空母、インディペンデンス級軽空母へのアウトレンジ攻撃を狙うが…。マリアナを巡る熾烈な機動部隊決戦の帰趨は。
著者等紹介
谷甲州[タニコウシュウ]
1951年兵庫県生まれ。青年海外協力隊などを経て作家デビュー。SF小説、冒険小説、山岳小説など広い分野で高い評価を得ている。96年『白き嶺の男』で第15回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kochi
16
こんな本も読むんです。1991年から続くこの「覇者の戦塵」シリーズ、本書で32冊目(中公版)。満州地域に後世の大慶油田が発見されたことに端を発し史実とは異なる経過をたどることになるいわゆる架空戦記であるが、土木工学出身のSF作家谷甲州の手になるため、極めて技術偏重のお話。本書ではマリアナ諸島での日米の機動部隊の激突の結末が描かれる。史実(1944年マリアナ沖海戦)では、日本は壊滅的打撃を受けたが、戦塵世界では押されながらも何とか戦力が維持されているので、これから戦争終結に向けてどのような展開になるか?2012/05/04
スカイバニラ
5
マリアナを巡る決戦が決着。地味に戦局が進展しつつ、さらりと日米双方の戦果と被害が述べられあたり、この作品の特徴か。2011/08/28
いーじす
2
香坂大尉が出てきてから一気に楽しくなった。やっぱ、この小説はキャラクターが魅力的だよなぁ。そして、人の噂話でチラッと出てくるだけで、この威力を発揮する蓮見大佐が、本当に出てきたらどうなることか・・・。おそらく、一人でアメリカ艦隊壊滅出来ると思う2011/09/02
カラヤ3
1
電探の活用と敵電探の妨害、そして、双方にとって敵情の把握がどれほど重要かがわかる。2019/09/24
鐵太郎
1
さて、いわゆる空対艦誘導ミサイルである機載翔竜、それなりの戦果を上げますが、これが今後の戦況にどう影響するのか。一時的な軍事アドバンテージがあっても、なにしろ相手は工業大国アメリカ、めまぐるしい技術革新のある戦場で、いつひっくり返るかわかりません。とりあえずこの巻では、日米がっぷりと殴り合ったのですが、いまのところ総合的に負けてはいないのではないか。二航戦の高桑少佐のそんな自問で締めくくられます。2011/09/15