内容説明
第二次世界大戦に勝利した第三帝国は、欧州を制圧した強大な軍事力をもって新たな戦争を始めようとしていた。本土を奪われた英国と同盟関係にある日本は、その脅威に備えるべく密やかに行動を開始。強力な兵器を装備した歴戦の強者達がひきいる第三帝国を相手に、戦歴のない若者達を多く含む日本が、総力をあげて立ち向かう。1948年5月、ついに第三次世界大戦が勃発!合衆国侵攻作戦「ゴールド」が始動する。合衆国と日英同盟を相手にした、第三帝国の全世界規模の戦略が始まったのだ。書き下ろし短編を収録したレッドサンブラッククロス通巻第一巻。
著者等紹介
佐藤大輔[サトウダイスケ]
1964年、石川県生まれ。シミュレーション・ボード・ゲームのデザイナーなどを経て、小説デビュー。架空戦記を中心に、SF・ファンタジーなどの分野でも、戦略的視座と独特の人物描写で構築する独自の小説世界を切り拓いた。既刊に「侵攻作戦パシフィック・ストーム」シリーズ、「皇国の守護者」シリーズ(小社刊)、「征途」シリーズ、「遥かなる星」シリーズ、「地球連邦の興亡」シリーズ(徳間ノベルズ)、「虚栄の掟 ゲーム・デザイナー」(幻冬舎ノベルス)などがある
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感想・レビュー
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臓物ちゃん
4
うめぇこと欧州全域を支配したドイツ第三帝国がうめぇこと弱体化した合衆国を侵攻し発生した第三次世界大戦に、うめぇこと海洋経済圏を築いた日本が立ち向かうA級架空戦記の決定版。序盤はその〈うめぇこと〉がどうやって成ったのかの説明に終始してるのだが、日露戦争まで遡ってキチキチに建造される歴史改変がまた面白なのよ〜。ヒトラー艦長とか強そうなキャラも続々登場し次巻からいよいよ戦争か〜と思ってた矢先に短編「最後の一人まで」の悪魔的展開で背筋がブルリ。2020/08/18
鐵太郎
4
文庫版に短編を二つつけて新書版に。姑息なんだけど、読んじゃうんだよね。このおまけの短編が秀逸だし。「ルール・ブリタニカ」は、見栄と伊達で国家の名誉と体面を守ろうとした英国人たちを、「最後の一人まで」は戦時に守ってやれなかった子供のことをいつ迄も悔いる老人を描いてます。2008/01/24
カラヤ3
1
日英独米戦争シリーズ第1作。順番を考えずに読み始めたが、前に読んでた内容の発端がわかった。日英米独それぞれの立場で書かれていて読みごたえがあった。2019/12/17
はばたくキツネ
1
「子供は残っておらんか。もう誰も残ってはおらんか。」 珍しく皮肉が(比較的)控えめの、人の優しさと悲しさが混在した巻末書き下ろし短編『最後の一人まで』がなかなか。2012/03/13
杞人
1
久しぶりに読み返してみたが、さすが佐藤大輔だけあって目配りの効いた視点に気の利いたウィットがあって読ませる。巻末短編の「ルール・ブリタニア」では、戸籍を焼けばゲシュタポに捏造の論拠を与えることになるが、原本を持ち出せば彼らの犯行にもそれだけ反論の労力が必要になるわけだから、払った犠牲はともかく一種の善行と言えるのだろう。しかし、そんな話を貴族の権化たるチャーチルの演説で挟み込んでひっくり返してしまうのだからなんともほろ苦い。嘆息しつつ、その後の占領下のブリテン市民に思いをはせて頁を閉じるのであった。2011/08/15