内容説明
日常から突如奇想が展開する「過酸化マンガン水の夢」、死に至る限界まで妻の肉体にうちこむ夫と、誘惑する妻―性の駅楽と恐怖を追求した問題作「鍵」。継母への憧れと夭折した生母への思慕から二人を意識の中で混同させてゆく主人公を描く「夢の浮橋」など、老いや母恋いをテーマにした円熟期の秀作を収載する。
目次
『過酸化マンガン水の夢』
『歌々板画巻』
『鍵』
『夢の浮橋』
雑纂
参考
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
訪問者
6
戦後になっても谷崎先生の快進撃は続く。「鍵」もまた谷崎潤一郎を代表する傑作の一つ。「過酸化マンガン水の夢」、「夢の浮橋」も素晴らしい。2019/08/20
訪問者
4
戦後になっても谷崎先生の快進撃は続く。「鍵」もまた谷崎潤一郎を代表する傑作の一つ。しかし、あの「細雪」の後で、この作品を書き上げたのだから、正に谷崎先生恐るべしである。「過酸化マンガン水の夢」、「夢の浮橋」も素晴らしい。2023/09/14
MatsumotoShuji
0
谷崎って瞬間風速的な作家かと思ってたけどデビュー作から晩年に至るまで常にセンセーショナルで高い水準の小説を書き続けてきた人だったんだ。こんな人は他にいないよね。この巻にも「鍵」という超問題作が収載。56歳の男が45歳の女体に溺れる。ぐさぐさと突き刺さっていろいろ痛いぞ。ま、それはともかく、血圧はしっかり下げときましょうね。2019/12/10