内容説明
敵の首級を洗い清める美女の様子にみせられた少年―戦国時代に題材をとり、奔放な着想をもりこんで描かれた伝奇ロマン「武州公秘話」。ほかに随想「恋愛及び色情」、文壇進出前後の若き日の回想録「青春物語」ほか、文壇での地位を不動のものとさせつつ、悩み多き私生活を送っていた昭和初期の作品を収載する。
目次
武州公秘話
倚松庵随筆(倚松庵随筆序;懶惰の説;恋愛及び色情;現代口語文の欠点について;「つゆのあとさき」を読む;私の姓のこと;私の見た大阪及び大阪人;佐藤春夫に与へて過去半生を語る書)
青春物語(緒言(『青春物語』)
青春物語
藝談)
雑纂(正宗白鳥氏の批評を読んで;無題(『饒太郎』断書)
倚松庵詠草(未発表原稿)
むかしばなし
「武州公秘話」続篇について
新聞小説を書いた経験
歌一首(「読売新聞」))
感想・レビュー
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訪問者
4
「武州公秘話」もなかなか良いところで終わっており、もっと書き続けられていたら、もっと違った物語を読むことが出来たのかも知れない。もちろん今のままでも十分面白いけれど。2019/08/08
MatsumotoShuji
0
武州公秘話:資料を読み解いて物語を紡ぐ。やっている事は鴎外や司馬遼太郎と同じなのに、谷崎の手にかかると倒錯的でエロティックになるから不思議。倚松庵随筆:例によってあんまりぱっとしない谷崎のエッセイ。「座談の相手には東京の女が面白く、寝物語には大阪の女が情がある」だって。2017/08/11